オバマ訪問1カ月、広島は何が変わったのか 外国人の訪問は急増しているが…
原爆孤児で施設に引き取られた人はごく一部。戦後間もない時期、多くの原爆孤児の生活を支えたのは復興の過程で経済力を握って台頭した暴力団。それが、実際に広島で起きた暴力団同士の抗争を扱った、深作欣二監督の名作「仁義なき戦い」に繋がっていく。
生活を支えられたとは言っても、飢餓の恐怖に苛まれながら過酷な労働を強いられ、被爆時点で学歴が止まったまま大人になった人が多いという。筆舌に尽くしがたい苦労ゆえか、自らの経験を口にする原爆孤児はごく少数派。川本氏は極めて貴重な語り部である。
「持っている人から奪わなければ生きていることすらできない。それが現実だったことを、正直、何不自由ない暮らしが当たり前の現代の子供たちに理解してもらうのは難しい。それでも平和であることは当たり前ではないのだということを、少しでも多くの人に伝えたくてこの仕事をしている」。
2度と繰り返さないでほしい
オバマ大統領の訪問については「様々な受け止め方があるのは仕方がない。ただ、自分は責め合う気持ちにはなれない。なぜあんなことが起きたのかを子供たちに知ってもらい、2度と繰り返さないでほしいと願うのみ」だという。
大統領訪問に対する海外メディアの反応は総じて微妙だった。特に周辺国の反応は「被害者面は許さない」――。
堀川恵子氏の言葉を借りるなら、「戦争がもたらす不条理は、いつも非力な立場にある人たちへと押し寄せる」。そして「貧しく、弱い立場の者から矢面に立たされ殺されていく」。周辺国の非難の矛先は一個人に向けられたものではなく、国家に向けられたものではあろうが、これほどの被害に遭った人たちが、今もなお矢面に立たされ続けているということを思い知らされる。
もうすぐ8月6日が、そして8月9日がやってくる。
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