オバマ訪問1カ月、広島は何が変わったのか

外国人の訪問は急増しているが…

これまで原爆に関する多数の書籍が世に送り出されてきたにもかかわらず、世の中にはなかなか伝わらない。原爆投下から70年以上が経過し、被爆者は次々と鬼籍に入り、語り部も減っていく。原爆がもたらした結果を原爆を投下した当事国の大統領にその目で見てほしい、実際に見れば何をしたのかがわかるはず――。

米国大統領による広島訪問は、被爆者のみならず「原爆」を後世に伝えたい人々の悲願であったことは間違いない。だが、謝罪はなく、大統領のわずか数列うしろには、核攻撃命令の暗号を収めたブリーフケースを持った将校が待機していたわけだから、複雑な思いで受け止めている人たちも当然居る。

「原爆はほとんどトラウマ」

「広島文学資料保全の会」代表の土屋時子氏は、「被爆者がオバマ大統領と安倍(晋三)首相の政治パフォーマンスに利用された感がある」という。

小学校入学から高校卒業までの12年間を広島で過ごし、現在は米国在住の40代の男性は「毎年8月が来るたびに原爆に関する教育を受けてきた。原爆はほとんどトラウマ」と言う。資料館の展示資料は、おそらく大抵の人に原爆の悲惨さ、残酷さを直感的に理解させる。それだけに大人でも受け止めるのはかなりしんどい。子供ならなおさらだろう。

だが、トラウマと引き替えに、核や戦争、憲法、政治に対する自分の考えを整理する機会は否応なく得た。日本ではこの類の話題は敬遠されるだけだが、米国では周囲の知人が普通に議論を挑んでくる。日本に住む同世代の日本人男性で、この類の議論を挑まれ、まともに応えられる人は果たしてどのくらいいるだろうか。

オバマ大統領訪問については、「政治パフォーマンスの形でなければ訪問は実現するはずがなかった。それでも少なくともオバマ大統領がその目であの展示資料を見たという事実は評価していいと思う」という。

ピースボランティアとして働く川本省三氏はいわゆる原爆孤児である。小学校6年生の時に疎開中に原爆が投下され家族を失った。後日広島市内に入った入市被爆者でもある。

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