ロボメーカーが、中国生産に乗り出す狙い 狙いは地場企業?生産拠点も続々新設

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ファナックは国内堅持

日本だけではない。ドイツの大手メーカー、KUKA(クカ)も今年中にロボット生産を開始する。

いち早く中国生産に踏み切り成功しているのがスイスのABB。中国生産を拡大してきた欧州系自動車メーカーに呼応し、10年以上前から上海で現地生産に取り組んだ結果、中国でシェアトップを走る。多品種のロボットを生産する中国は、今や同社の海外生産の中心だ。

一方、国内生産にこだわるメーカーもある。最大手のファナックは山梨県の本社工場にロボット生産を集約。工程の自動化を徹底することで高い競争力を保つと同時に、技術流出を防ぐ狙いがある。

もちろん、中国生産に踏み切ったメーカーも技術流出対策を取っている。安川電機は部品の内製率を8割まで高めることで製造コストを抑え、コア技術も囲い込む。

今後、中国での主戦場と目されるのは、製造ラインへのロボット導入が進んでいない地場の自動車関連メーカー。完成車メーカーもさることながら、自動車部品メーカーに至っては、「ロボット勢力図」はまだまっさらといっていい。

「生産技術力が未熟な地場の自動車関連メーカーは、日欧のロボットメーカーにとってチャンスだ」(みずほコーポレート銀行産業調査部の上田洋一郎調査役)。陣取り合戦はまさにこれから本格化する。

リスクを覚悟し、中国で生産するのが正しいのか。国内生産を堅持して戦うか。現時点での正解はわからない。販売・サービス体制の強化も求められることは必定。確実に言えるのは、成長市場の中国をめぐる争いが過熱するということだ。

週刊東洋経済2013年2月23日号

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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