“超”優秀な人材が、NPOに押し寄せる理由

企業とNPOが人材を奪い合う時代

「NPOで働くことを誇れる世の中を創ろう」と誓い合った松島

クロスフィールズを共に創業し、今日まで二人三脚で走ってきたのが、共同創業者の松島由佳(27)だ。

これまでのすべての苦楽を共にしてきた共同創業者・松島由佳

松島は今、経営陣として団体運営を考えながらも、世界中を飛び回って「留職」事業を統括する壮大な役割を一手に担っている。日本の大企業と途上国のパートナー団体との間で連携をとりながらプログラムを創り上げていくという、高いビジネススキルと人間力とが要求される仕事に挑んでいる。

松島自身はあまり語りたがらないが、彼女は有名な女子高から東大を経てボストン・コンサルティング・グループに入社するという、世間で言うところのいわゆる「エリート街道」を突っ走っていた人間だ。そんな彼女が、僕と一緒にNPOを起業するに至ったのは、いったいなぜなのか。

松島は、ある原体験を持っている。

インドネシアNGOで留職者とともにミーティングに出席する松島

松島がまだ幼い頃、彼女の父親はサラリーマンとして働きながら、医療課題に取り組むNPOを友人とともに立ち上げてカンボジアに病院を設立した。その後、松島自身も現地を訪れて活動に触れ、「父親がイキイキと働く姿をとてもかっこよく感じた」という。しかし当時NPOで働くことは非常に珍しく、「変わっていると思われるのが怖くて、父親のやっていることを堂々と友人に言えなかった」という葛藤があった。

大学に入ると、彼女自身も途上国を支援するNPOの活動にかかわるようになる。学生ながら責任ある仕事を任され、自ら企画したスタディツアーで再びカンボジアを訪れたときは感無量だったという。しかし、「それでもまだ、大学の友人にはなかなかNPOの活動をしていることを打ち明けられない自分がいた」と彼女は言う。

クロスフィールズを共同創業した僕たち2人

僕がそんな松島と出会ったのは、今から6年前の就職活動中のことだった。同じ会社のグループ面接で、奇遇にも途上国でのNPO活動について話した2人は意気投合し、松島は僕が運営していた勉強会に中心メンバーとして参加してくれるようになった。

「NPOで働く人はとにかくすてき。何かを成し遂げたいという信念にあふれていて、利益のためだけじゃなく、使命に基づいて生きている。そういう魅力的な人たちと一緒に、NPOで働くことを誇れるような世の中を創りたい」

そんな想いを真っすぐ語る松島に触発され、社会人3年目が終わる頃、僕たちはともに起業することを決意した。そこには、IPOを達成して億万長者になるなんていうゴールはない。ただただ志を体現するために、僕たちは行動を起こしたのだ。

次ページ続々と参画する熱くて優秀な仲間たち
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