40代は若者の安全志向と開放性を侮るな 人が育つ環境と心構えとは何か

✎ 1〜 ✎ 51 ✎ 52 ✎ 53 ✎ 最新
拡大
縮小

北澤:おっしゃるとおりです。非常に公平にやっていく感覚があり驚かされます。

常見:今の若者は楽器がうまいとよくいわれますよね。というのも、ぼくたちがレコードを止めて必死にコピーしていた演奏を、YouTubeで実際の手の動きを見ながら、練習している。ネット上に教科書が落ちているんです。

石川:情報を取り入れることに、いい意味で屈託がないと思います。

これから成長していくために

常見:会場から「今の20代、30代がこれから成長するために、どのような点に気をつければいいのか」との質問をいただきました。

北澤:ぼくは「思い」が強いことが重要だといいたいですね。仕事をバリバリやりたいでもいいですし、家族と過ごしたいでもいいですが、その思いを強く持つことが大切。

それを戦略に落とし込むためには、きちんと現実を見る必要があります。世の中の動きや、人間とはどうあるべきか、しっかり見極める力。思いを高くもち、現実をしっかり見る。乖離しているように見えるかもしれませんが、そのコントラストは統合されていきます。それを若者にはやってほしいですね。

常見:私の答えは、10年以内に「あの人の仕事は面白いよね」と言われるようになってほしい。それは、たくさんお酒を飲んだり、冗談を言ったりするのではなく、本気でないと人は面白いと思ってもらえないんです。どんな人間でも、人が本物かどうか見極める目は非常に鋭いと思うんです。だから、日々が真剣勝負で、あの人は面白いと思われる仕事をしてほしいですね。

話は様々な方向に広がりを見せたが、結局、目の前の仕事はすべてクリエイティブなものになりえて、成長の機会になるということである。そして、若者をバカにしてはいけないし、ミドルはもっとしっかりしなくてはいけない。さあ、今週も目の前のことを一生懸命やろう!

 (写真・構成:山本 ぽてと)

常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT