"老朽"高浜原発の過酷事故対策はなってない

「再稼働のための審査」と専門家が告発

老朽原発ながら運転延長が認められた高浜原子力発電所1号機と2号機(写真:共同)

関西電力・高浜原子力発電所1、2号機の40年を超す運転延長が、6月20日、認められた。福島原発事故後に制定された新たなルールのもとで、原子力規制委員会が40年を超える老朽原発の運転延長を認めたのは初めてのことだ。

だが、同原発に関しては原子炉圧力容器の中性子照射脆化など老朽化による安全性低下に懸念が持たれているほか、炉心溶融などシビアアクシデント(過酷事故)対策についても疑問を抱く専門家がいる。旧原子力安全委員会事務局で技術参与を務め、現在は「原子力市民委員会」のメンバーとして市民の立場で審査内容を検証している滝谷紘一氏に、過酷事故時の対策を中心に新規制基準の内容や同基準に基づく審査プロセスの問題点について聞いた。

――滝谷さんは福島原発事故以前に原子力の規制当局で原発の安全規制に関わってこられました。

滝谷 私はもともと川崎重工業に研究者として勤務していたが、2000~08年の8年間にわたって、当時の原子力安全委員会事務局に在籍し、主に原子力安全・保安院(当時)が実施した安全規制をチェックする部署で技術専門職として仕事をしてきた。実務としては、保安院による工事計画認可や保安検査、使用前検査などの後続規制の検証を担当した。中部電力・浜岡原発1号機で高圧注水系分岐蒸気配管のギロチン破断事故が起きた際には、原子力安全委員会が設けた事故調査検討会に参加した。

再稼働を取り計らう審査ではないのか

――滝谷さんはこれまで岩波書店の月刊誌『科学』への投稿などを通じて、原発の過酷事故対策に問題ありとして警鐘を鳴らしてこられました。関電・高浜原発1、2号機を例に、具体的にどのような点に問題があるとお考えでしょうか。

滝谷 2013年7月に施行された、原発再稼働の必要条件となる新規制基準については、原発の立地評価外しに始まって、地震動・津波評価、プラントの設計評価から防災対策に至るまでさまざまな問題点がある。それらを貫いている根本的な疑問として、「原発の過酷事故対策は住民の安全を守るうえで果たして有効なのか」という問題がある。突きつめて言うと、新規制基準のそれぞれの項目について、すでに存在する原発を再稼働できるように取り計らった規則や審査ガイドになっているのではないかということだ。

一例として、過酷事故での水素爆発対策を取り上げたい。福島原発事故では炉心の溶融を通じて大量の水素が発生し、原子炉格納容器内から建屋に漏れ出したところで酸素と反応して大爆発が起きた。原子炉建屋の上部が吹き飛んだ瞬間のテレビ映像は、多くの国民の脳裏に焼き付いている。

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