――20人に一人の先生がつくなんて贅沢ですね。
はい。非常に贅沢だと思います。英語や数学のほかにも理科の実験でも分割授業をしています。駒東では頻繁に理科の実験をします。実験室だけで9室あります。教科書を読んで、覚えるというだけでは理科は不十分だと思います。実験して、観察して、レポートを提出する。このプロセスを経て、初めて知識として身に付くと思っています。もちろん実験器具も生徒1人ひとりすべてにいきわたるようにしています。
人件費ということを考えると、結構ぎりぎりのところがあるのは事実です。でも、それくらいのことをやらないと高い授業料をもらって私学に来ている意味はないのではないでしょうか。
キャリア教育は豪華な顔ぶれ
ほかにはキャリア教育にも力を入れています。中学受験を突破して、「さあ、大学受験だ!頑張れ!」というのでは、どうしても近視眼的になってしまいます。
それに今や有名大学にいって、有名企業に入れば一生安泰という時代は終わりました。生徒たちにはいろいろな選択肢があることを示したいと思っています。具体的な取り組みとして、同窓会から人材育成基金として1000万円以上を捻出して、年間20回近くのキャリア講演会等を行っています。昨年の高校3年生を対象とした講演会には平田オリザさんがいらっしゃいました。彼のヤルタ会談の風刺劇を皆で見て、そのあとで、質疑応答となったのですが、平田さんがゲストとしてほかに四人の方を招いてくださいました。それが政治家の小泉進次郎氏とニュースキャスターで元経産省官僚の村尾信尚氏だったんです。
――生徒のキャリアからすれば最高の講師陣ですね。
そうですね。大学受験だけを考えてしまいがちな高校3年生にはとてもにいい刺激になったと思います。ほかにも、「ユーグレナ」という会社の出雲充社長を招いて講演をしてもらったことがあります。彼は駒東OBで東大に進学して三菱UFJ銀行に行ったのですが、ミドリムシの有用性に気づいて、ベンチャー企業を立ち上げ、昨年にはマザーズへの上場も果たしました。「ミドリムシは栄養価が高い。今後はミドリムシから日常で必要な栄養を取る時代がくるかもしれない。そのうえ、油も取れる。5年後にはミドリムシから採取される油でジェット機を飛ばしたいんだ」ということを語りました。理科好きの駒東生からは質問が集中していました。そういう取り組みを通して生徒を啓蒙することが必要でしょうね。