自動車の未来を左右する「地図情報」の現在地 オールジャパンで自動運転時代をリードせよ

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ダイナミックマップは機能別に「静的情報」「准静的情報」「准動的情報」「動的情報」の4つの階層に分けられる。

ダイナミックマップは4つの機能から構成される

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(出所)戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

「静的情報」はマップの土台ともいうべきもので、路面情報、車線情報、三次元の構造物などからなる、いわゆる地図情報だ。道路や建物は頻繁に新設されるものでもないので、情報更新は1カ月に1回程度で十分だと考えられる。

「准静的情報」は交通規制情報、道路工事情報、広域気象情報などからなる。こちらは時間単位で更新されれば良いだろう。これに対して、「准動的情報」は事故情報や渋滞情報、ゲリラ豪雨のような狭域気象情報といった突発的事象を対象にしていることから、分単位の更新が望ましい。

 そして、「動的情報」とはITS先読み情報のことで、秒単位の更新を想定している。ITS先読み情報には、周辺車両や歩行者情報、信号情報などが含まれる。たとえば、運転をしているときに、1つ先の信号が赤色になったのを見て、手前の信号もまもなく変わるだろうと予測し、加速を緩めることがある。自動走行システムにも信号情報を与えれば、AIを使って先読みをさせることが可能だ。

以上の4つの情報はどれも自動走行システムに必須であるうえに、企業が差別化を図りにくい領域である。地図の見せ方を変えることはできても、基本骨格は差がつかないし、行政から発信される交通規制情報や道路工事情報も変えようがない。先に述べた信号情報もそうだ。ただし、信号情報を受けたあとについては、いかなる場合でも減速するのか、状況によっては加速して通り抜けることを優先するのか、そのあたりに各社の色が出てくるだろう。

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