「白川総裁は誠実だったが、国民を苦しめた」 浜田宏一 イェール大学名誉教授独占インタビュー
日銀は財政規律を保つために金融政策をやっているのではない。国民が十分に消費や投資活動ができて、かつ、物価が跳ね上がらないようにするのが本来の役割だ。今の日銀は、内科で胃のお医者さんが「いま問題なのは胃ではなく、呼吸器のほうです」と言って、その独占する胃の薬(金融緩和)を全然与えないようなもの。経済政策とは、いちばん病んでいる患部に効く薬をうまく使うことだ。
総裁には「お疲れ様」と言いたい
――次の日銀総裁は、誰が有力でしょうか?
それはわからない。首相が決める前に「この人」などと述べたら混乱するだけだ。学者風に見えても、国民のために決断できない人の問題点はわかったと思う。逆に、いかに有能な行政官でも、航海をするときに海図が読めない人はよくない。
白川さんは海図が読めるはずだったが、「日銀理論」という間違った海図を使ってしまった。船のスタッフを統御する行政能力、管理能力も必要だが、命令だけできて、海図も潮の流れも読めない船長だと“日本丸”は座礁する。
日本の国民が何に悩んでおり、それを直す手段がわかったのであれば、自らリスクを国民のために負って、大胆に責任を持ってやれる人が必要だろう。
――白川総裁が3月19日付で辞任を表明しました。
総裁任期を副総裁のそれに合わせたという理由なので、今までの金融政策に責任を感じているかどうかは分からない。自分の信念を曲げずに、誠実に職務を忠実に続けてきたことはわかる。「お疲れ様」と言いたい。ただ、その信念は日銀や日本のジャーナリズムだけに通用する「真理」にすぎず、デフレと円高で国民を苦しめたという事実は、歴史として残るであろう。(※辞任表明に関するコメントは、浜田教授が米国に帰国後、書面で回答を得た)
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