東京ドームのパ・リーグ試合が超人気のワケ フアンにとって貴重な機会、満員御礼が続出

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実はパ・リーグの非在京球団による東京ドームでの主催ゲーム開催の元祖はオリックス。2007年から2009年までの3年間、年間2試合を開催していた。目的は楽天と同じ「グループ従業員の福利厚生と取引先の接待」。開催をやめたのは「リーマンショック後の経費削減方針に沿った」ため。

プロ野球の公式戦の日程は前年の夏に各球団に告知され、それからどこの球場で主催試合を開催するかを球団が決め、球場を押さえる。2009年はおそらく球場を押さえたあとのタイミングで、リーマンショックが勃発したため、中止しなかったということなのだろう。

ただし、オリックスの場合はユニフォームの無料配布も実施せず、イベントも地味なものだったせいか、観客動員数は2万人台に留まっている。

日本ハムは、北海道に本拠地を移す前までは東京ドームがホームだった縁で、現在も主催試合を年間9試合、東京ドームで開催している。親会社の接待の目的も当然あるのだろうが、こちらもユニフォーム配布はなく、ほとんど宣伝らしい宣伝もしないためか、観客動員数は2万人台に留まる。1塁側は埋まるが、ビジター側が埋まらないためだろう。

超人気カードなのに年間1試合のみ

大昔は「人気のセ、実力のパ」と言われたが、現在メジャーで活躍しているイチロー、ダルビッシュ有、田中将大はいずれもパ・リーグ球団の出身だし、大谷翔平も柳田悠岐もパ・リーグの選手。特定のチームの応援だけでなく、他球団のスター選手たちの優れたパフォーマンスを見るのも野球観戦の醍醐味だ。

セ・リーグなら東京ドーム、神宮、そして少し足を伸ばせば横浜スタジアムで広島や阪神、中日の選手を見られるが、首都圏でパ・リーグ球団のゲームを観戦しようとすれば、基本的に海浜幕張のQVCマリンフィールドか、所沢の西武ドームまで行かねばならない。休日ならともかく、平日、仕事が終わってから行くにはいささかハードルが高い。

その点、東京ドームという屈指の好立地球場での開催はファンの要望に添うもののはずだが、残念ながらソフトバンクもロッテも楽天も年間1試合のみ。超人気カードなのに、なぜ1試合だけしか開催しないのか。

プロ野球12球団はそれぞれ本拠地となる球場、いわゆるホームグラウンドを定めている。そのうえで、その球場が所在する都道府県に、その球団の「保護地域権」を認める規定が野球協約に定められている。

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