東京ドームのパ・リーグ試合が超人気のワケ フアンにとって貴重な機会、満員御礼が続出

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たとえばジャイアンツとヤクルトの保護地域は、東京ドームも神宮球場もどちらも東京都内にあるから東京都。日本ハムは北海道だし西武は埼玉県。したがってロッテは千葉県だしソフトバンクは福岡県である。他球団の保護地域でゲームを開催する場合は、保護権を持つ球団の許諾がいる。たとえばジャイアンツが秋田県内でゲームを開催するのにどこの球団の許諾もいらないが、宮城県内で開催しようとすれば楽天の許諾がいる。

ちなみに阪神は春と夏の高校野球開催期間は大阪府の京セラドームを使うが、甲子園球場が兵庫県にあるから兵庫県。オリックスはかつての本拠地だった兵庫県のほっともっと神戸も使うが、京セラドームが大阪府にあるから大阪府が保護地域。一応、阪神とオリックスは、互いに仁義を切り合う。

開催試合数拡大は難しく独自戦略にも制約

当然、楽天もロッテもソフトバンクも、東京ドーム開催に当たっては巨人とヤクルトの許諾を取っており、開催試合数を増やすにはこの2チームの許諾がいる。かつてはオリックスに2試合分の許諾を出していたわけだから、もう1試合くらいは球団がその気になれば増やせる可能性はあるが、それ以上となればかなり難しいだろう。

集客にも制約がかかる。ソフトバンクは地元福岡での鷹の祭典実施日には、公共交通機関や博多駅構内のショップのスタッフにもユニフォームを着てもらい、博多の街をソフトバンク一色に染め上げて街全体をジャックするのがお約束。

だが、東京ドームでは23番ゲートの上に看板を出すのが限度で、柱に巻き付けられた巨人の選手のポスターの上から、ソフトバンクの選手のポスターを巻き付けることも許されない。まして東京の公共交通機関のスタッフにソフトバンクのユニフォームを着てもらうことなど到底許されない。

パ・リーグ球団の東京ドーム開催は、長時間の移動を伴わずに見られる絶好の機会だ。今期は8月下旬の日本ハム開催の3ゲームを残すのみだが、来シーズンは見に行ってみたらいかがだろうか。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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