中国経済には「南シナ海」「北朝鮮」も足かせだ 国際社会との認識ギャップを埋め利益再考を

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多くの中国人は南シナ海における自己主張に対する批判は不当だと信じている。しかし周辺国との調和は、誤った自国の正当化よりもはるかに重要である。

東南アジア以外でも、朝鮮半島の情勢が複雑さを増している。韓国が経済面でも文化面でも尊敬される国となっている一方、北朝鮮はいまだに独裁政権が大量破壊兵器の開発に躍起になっている。その様子はどう言葉を選んでも、せいぜいカルトと形容するのが相応だろう。同国の主要な輸出品と言えば、その政治制度が生み出すブラックユーモア、亡命者、そして米国さえもマシに思えてしまうような例外論的な主張だろう。

同国の唯一の同盟国といえるのは中国だが、中国さえも懐疑的な姿勢を見せている。

公平を期するために言うならば、朝鮮半島における中国の国益には、欧米で普段報じられるているよりも複雑な構図がある。中国にとって北朝鮮は外交政策上の問題と言うよりも、中国が自国の将来像を描く上で、国内の議論に影響を与える複数の側面を持つ問題なのだ。

朝鮮半島に関しても国際社会と認識すり合わせを

北朝鮮の体制が崩壊して韓国と統一する可能性は、中国の安全保障上の利益に対して、あるいはそれらの利益の受け止められ方に対して、どのような意味を持つのだろうか。歴史的な「パートナー」を失うこと(今日多くの中国人はそのような形容は嫌うだろうが)、およびライバル国を強めてしまうかもしれないことは、中国の政治制度あるいは外交政策にどういった影響を及ぼすのだろうか。

ただ、確かと思われることが一つある-中国が北朝鮮とこれまでに築いてきた関係の今後を決めるのは国際社会ではない。中国人自身だ。

朝鮮半島の状況を見極めることは、中国にとって今後の利益を再考することにもつながる。まずは半島の国際的認識と自国の認識との整合を取るべきだろう。そうすれば、世界から見た中国と、自国から見た中国とのギャップを埋める足掛かりも得られるはずだ。

週刊東洋経済7月23日号

クリストファー・ヒル 米デンバー大学コーベル国際大学院長

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Christopher R. Hill

米国の元東アジア担当国務次官補。近著に『Outpost』。

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