ヤマハ、楽器大手の真髄 ウィーン・フィルの立役者、岡部常務に聞く

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特に、オーケストラで吹いている演奏者は、いつもフルパワーだと疲れるので、少し、楽器に寄りかかりたい瞬間があるもの。自分のソロの場面でがんがん吹くだけでなく、周りに合わせて響きだけを作っている時間もある。そういった響きを作るときに、楽器独自の響きや個性があると、自分が少し力を抜いても、音色は保たれます。でも、楽器独自の個性は、ソリストとして演奏するときにはジャマになったりする。

開発のテーマは、楽器独自の個性を出すことと、演奏者の個性を出すことの、せめぎ合いです。これは管楽器だけでなく、ピアノなどほかの楽器についても同じことが言えると思います。

管楽器の普及に向け、バンド文化を定着させる

日本やアメリカでは、学校を中心に吹奏楽活動が定着したことが、管楽器普及の追い風になった。一方、韓国や中国などでは、子どもの習い事として楽器に触れるケースが多く、アンサンブルやオーケストラなどのバンド活動は、それほど盛んでない。

今後、世界で事業を展開する上では、楽器を作るだけでなく、指導者を送り込んだり、吹奏楽の連盟を作ったりして、楽器を普及させるための、仕組み作りをすることが大事です。ヤマハは(楽器メーカーとして)規模が大きいですから、中心になって音頭をとらないといけません。また、ヤマハだけがやるのではなく、業界を巻き込んで、普及活動や啓蒙活動をすることが、バンド文化を繁栄させるために有効だと思います。

日本では、男の子が管楽器に興味を持ちにくくなっていることが、本当に残念です。中学校・高校まではそれで困ることはありませんが、社会人になったときに、女性だけのバンドを続けていくことはなかなか難しい。近年は、職場を中心としたバンド活動も衰退し始めています。将来の吹奏楽を考えると、男女が両方交じっていないと、バンドの力を継続できない。ですから、なるべく男の人に吹奏楽の道に入ってほしいと、個人的には思っています。

小河 眞与 東洋経済 記者
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