成長へ舵切るブラザー、試される“新事業創出力” 新しい5カ年計画を始動
「成長への再挑戦」--。プリンタや複合機などの情報機器メーカーとして知られるブラザー工業は、この4月から新しい5カ年計画をスタートさせた。
“再挑戦”と銘打たれているのは、一度は挫折したから。2003年に立てた長期計画では13年3月期に「売り上げ1兆円、営業利益1000億円」の達成を目指していたが、08年秋以降の世界的な景気後退が欧米販売比率の高い収益構造(11年3月期で56%)を痛打。1兆円は、はるかかなたにかすんでしまった。
そのため、1兆円達成のワンステップとして、「まずは5年後に7500億円を目指す」(小池利和社長)というのが新しい5カ年計画だ。
「成長への再挑戦」は実現できるのか。その戦略の中身と課題について見ていこう。
主力の情報機器市場はライバルがひしめく
成長目標をセグメントごとに切り分けるとグラフのようになる。このうち、最も課題が多いのが、最大事業の情報機器(プリンティング&ソリューションズ、P&S事業)かもしれない。
計画では、P&S事業を4割近く伸ばすことになっている。実現のカギは、欧米先進国のSOHO市場に強いブラザーの複合機を新興国でも売り込んでいくことだ。「欧米で行ったのと同様、お客さんの声をよく聴いてそれを素早く開発に生かしていく。価格競争オンリーになるときついが、幅広いラインナップを武器にしていく」(小池社長)。
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