ヤマハ、楽器大手の真髄

ウィーン・フィルの立役者、岡部常務に聞く

ウィーン式管楽器と似ていて、ベーゼンドルファーも、昔の作り方を続けているメーカーです。ウィーン式管楽器は作る人がいなくなってしまいましたが、ピアノはビジネスとして大きいので、伝統的な楽器作りが続いてきた。ただ、経営の面が弱っていました。ヤマハが買収してからは、市場規模に合わせたリストラをしたり、ウィーンにあったショールームを工場と同じ場所へ移したりして、うまく回り始めています。

(ベーゼンドルファーのピアノ作りを)日本へ持ってきたり、ましてや中国で作って(ベーゼンドルファーの)フラッグをつけたりすることは、発想として、全然ありません。そういうことをするのであれば、買収する意味がない。ベーゼンドルファーの作り方はヤマハと全然違います。材料の乾燥にしても、気候が違う。「ベーゼンドルファーはウィーンに残す」というメッセージを、ずっと持ち続けています。

ヤマハの楽器は三ツ矢サイダーに似ている

ニッカン、ヤマハ、バックなど、さまざまなトランペットを吹いた経験のある岡部氏は、楽器にはさまざまな個性があると話す。

たとえば、バックは個性の強い楽器です。誰が吹いてもバックの音がする。反対にヤマハは、良い意味でも悪い意味でも奏者の音を出しやすい楽器です。楽器としてのクセがあまりないので、上手い人と下手な人では音色まで違う。だから本当に上手な人は、バックの音はジャマだと言います。

たとえるならバックは「コカ・コーラ」で、ヤマハは「三ツ矢サイダー」か「スプライト」です。コカ・コーラは誰が飲んでもコカ・コーラの味がするけれど、いろんな味付けをしたい人にとっては、その個性がジャマになるときがある。でも、そういった個性が少しはないと、楽器の魅力も出ない。

ヤマハの楽器は、ソリストでいろんな表現をしたいひとには良いと言われますが、一方で、もっと音に個性がほしいという意見もあります。

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