ヤマハ、楽器大手の真髄

ウィーン・フィルの立役者、岡部常務に聞く

販売会社を世界中に持つ強み

アトリエのような拠点を作って楽器を開発しているのは、おそらくヤマハだけでしょう。ある程度の規模感がないとできないことですし、ヤマハは販売会社を世界中に持っているので、アトリエと販売拠点を有機的につなげることもできる。これはわれわれの大きな財産だと思います。

私自身、ヨーロッパに駐在し、各地の音楽文化をみることができました。音楽を演奏することがとても盛んな国もあれば、音楽の伝統はあるものの、バンド活動はそれほど盛んでない国があるなど、国によってさまざまです。

楽器開発は、そうした音楽文化と切り離せないものがあります。たとえば、チロルの金管楽器などは独特の卵形をした楽器で、現地で作られています。そこにヤマハが土足で入って行くようなことは、現地のひとたちはもちろん望まないし、われわれも望みません。

ウィーンフィルにしても、(ヤマハ製以外の楽器を採用しているセクションまで)ヤマハ製を広げようとか、ウィーンフィルをヤマハで征服してしまおうとかいう考えは、毛頭ありません。基本的には、現地の楽器でやれるのであればそれを残すべきです。

地域に根ざして、その土地の先生や演奏家と対話していると、「ここは必要なんだな」とか「ここはやっちゃダメだな」という判断ができるようになります。日本にいて遠くからやっていると、「ちょっと市場がありそうだからやってしまえ」ということになる。そういうことは、しないようにしています。

2008年には、オーストリアのピアノメーカーであるベーゼンドルファー社を買収。ウィーンの音楽文化との関係を、ますます深めている。伝統的なピアノメーカーで、「ウィーンの至宝」とも呼ばれるベーゼンドルファー社だが、当時はオーストリアの銀行傘下にあった。

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