関西経済はどこで「強み」を発揮できるのか どないやねん?ポスト橋下の大阪・関西

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縮小

政府も、自治体も、企業も、成長戦略の柱としてインバウンドに注力して取り組んでいる。上昇したといっても、日本選択率は訪日外国人全体の平均で、わずか2.5%程度でしかない。実は、中国人の海外旅行における日本の選択率も3.2%でしかない(2014年時点)。普通に考えれば、日本選択率はむしろ、上昇していくと考えるべきだ。MRIでは、2020年時点で日本選択率は4.5%程度まで増加し、訪日外国人数が3800万人に到達すると予測している

大幅な訪日外国人旅行客数の増加に伴い、インバウンド消費額は、2014年の2兆円から2015年には3.5兆円にまで増加した。日本政策投資銀行の分析によれば、付加価値誘発額は約3.9兆円。GDPの0.8%相当を占める。筆者の試算によれば、関西では8000億円程度の付加価値誘発額があり、GDPの約1%相当を占める。2020年に向けて、もし、2000万人が3800万人まで増加するとすれば、さらにGDPの押し上げ効果がおおむね1%程度あると推計される。

突然現れた成長市場である。期待しないほうがおかしい。ただ、この新市場が、関西経済全体の中で、どういう位置づけにあり、どういう意味を持つのだろうか?

関西経済は50年で約5.3倍になったが……

本連載の第1回コラムで、関西経済の相対的ピークは1970年だったことを紹介した。その1970年、バブルのピークだった1990年、そして、最近の2012年における、大阪、京都、兵庫の県民総生産(名目)の合計額(以下、京阪神経済)をみたのが、下図である。これを見ると、この間、約12兆円だった京阪神経済は、約64兆円と約5.3倍になっている。ただし、1990年以降はほとんど成長していないことがわかる(注:控除分などがあり数字に一致しないところがあるが、全体感把握のためでありご了承いただきたい)。

右側の比率をみると、「製造業」が大きくウエイトを下げる一方、「サービス業」などがウエイトを大きく高めていることがわかる。これだけを見ると、一定程度、産業構造を転換しつつ、経済の拡大に成功しているようにも見える。

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