関西経済はどこで「強み」を発揮できるのか どないやねん?ポスト橋下の大阪・関西

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一方で、純粋に国内市場に目を向けると、大きく成長することが期待される市場はなかなか見つからない。唯一、明らかに拡大することがわかっている市場が「健康・ヘルスケア・ライフサイエンス」に関する産業だ。2014年度の37兆円の医療費、10兆円の介護費は、2025年にそれぞれ54兆円、20兆円にまで拡大するといわれている。社会保障費の増加にどう立ち向かうかは、表向きには社会全体の解決課題ではあるが、裏側から見れば、「明らかに拡大する市場」である。しかも、単に日本だけではなく、そう時間をおかずに確実にアジアでも大きく市場が拡大する。

関西には、京都大学、大阪大学、理化学研究所などの再生医療、高度医療、大阪市道修町に代表される製薬企業の集積などがあり、もっとも強みがあり期待できる領域である。

ものづくりでは技術革新が生まれる可能性

最後に、ものづくり領域。先の「領域1-1」にあげた素材産業系は、一面においては、産業構造の転換への遅れから、「残ってしまった産業」という側面がある。普通に考えると、大きく市場を広げることは難しいが、東レに代表されるように、むしろ大胆な技術革新が素材系企業から生まれることも少なくない。

「領域1-2」の電子産業系も含めて「ものづくり産業」は、アジア市場や健康産業ほど、わかりやすく成長する市場ではない。しかしながら、経済成長を成し遂げるもうひとつの側面として、これから大きく懸念されるのが、労働力減少などに伴う、供給制約である。これから、IoT、AIなどに代表される新しい技術を使って、さまざまな産業で新しい仕組みづくりが行われていくはずである。そのときに、京都企業が多く属する電子部品系の産業などは、まだまだ成長していく可能性がある。

また、こうした素材や部品などのものづくり系の産業も、前述の「ヘルスケア産業」「アジアの成長市場」と無関係ではない。むしろ、大きくつながっており、そこにビジネスチャンスがあると考えられる。

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