鳥貴族が快進撃を続けられる本質的な理由 その儲けの構造を抽象化思考で読み解く

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しかし、因果関係は一本の鎖だけでつながっているわけでなく、網の目のように複雑に絡み合っている。たとえば、この記事を単に文章で読んでいただいても、先ほど挙げたポイントがざっと頭に入り、それらの関係がパッと理解できる人となると少ないかもしれない。

「原因」と「結果」をまとめると?

そこで、こうした分析のうえで、「原因」と「結果」の関係上のポイントをまとめた図を描くと、複雑な因果関係を無理なく頭に入れることができ、これを繰り返すことで、本当に使える「深い知識」が身につく。このような図を私は「因果関係マップ」と呼んでいる。

鳥貴族の因果関係マップには18個の要素が入っており、これを一度に頭の中に入れることは不可能に近い。しかし、このマップを使えば「ズームイン・ズームアウト思考」が容易にできる。

たとえば「コストダウン」の箱の原因をたどると、①「焼き鳥中心のメニュー→大量仕入→材料費ダウン」というつながりと、②「アルバイト多用→人件費ダウン」、そして、③「1階以外に出店→家賃ダウン」という3つの流れがあることがわかる。

「売上アップ」の箱の原因をたどると、①「焼き鳥中心のメニュー→早い」と、②「280円均一料金→安い」と、③「店内で串打ち→うまい」と、④「自社開発グリル器→うまい」と4つの流れがあることがわかる。

以上から、たとえば「焼き鳥中心のメニュー」にしたことが「コストダウン」と「売上アップ」両方につながっていること、つまり、利益を売上とコスト両方から押し上げていることがわかる。

因果関係マップは、単に企業の儲かるしくみ(ビジネスモデル)をわかりやすくするだけではない。これを見ながら、より深く考えると、特定企業の戦略以上の「普遍的な法則」に気づくことがある。

たとえば家賃を節約するために1階以外に出店するということは、ふらりと入る客は減ることを意味する。それでも店をいつも満員にするためには「鳥貴族はコスパが抜群!」といったクチコミを広げて、「またあそこに行こう」というリピーターを増やす必要がある。そのためには「早い・うまい・安い」の三拍子がそろっていなければならない。

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