ファナック、「優等生」に及んだ飛び火 欧州、中国経済の減速響く

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部門別に見ると、明暗が分かれる。足を引っ張っているのが、主力のNC装置を擁するFA部門だ。売上高は前年同期比27.7%減の1507億円。それに対し、ロボット部門は同0.2%増の862億円で、「ロボドリル」と呼ばれる小型マシニングセンタなどのロボマシン部門は同35.9%増の1482億円だ。

注目すべきは前年同期では売上高に倍近くの差があったFA部門とロボマシン部門の売上高が拮抗してきているということだ。業界では「ファナックは『NC』メーカーから『機械』メーカーに変わってきている」という声も聞こえてくる。

実際にファナックは、小型マシニングセンタの生産・販売を強化している。昨年末には筑波工場を増強し、従来比2倍の月産5000台という世界最大規模の能力にした。「(スマホ需要で活況だった)EMS向けだけでなく多様な販売チャネルを整備し、供給能力と価格競争力で他社を圧倒している」(大手メーカー首脳)という。

「高収益体質」が揺らぎかねない

ただ利益率が最も高いとされるFA部門を、ロボマシン部門が上回るようになれば、全体の利益率が下がり「高収益体質」が揺らぎかねない。経営の真価が問われる局面に入ってきたともいえる。

2014年3月期はどうか。日工会の横山元彦会長(ジェイテクト会長)は「中国景気はボトムを過ぎつつある。この先は緩やかに良くなる」と話す。各社トップも「工作機械市場は遅くとも今年半ばには持ち直すだろう」と期待する。顧客である工作機械メーカーの景況感が良くなれば、高シェア製品であるファナックのNC装置の販売も上向くと考えられる。

(撮影:梅谷 秀司)

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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