「無名中小」が新卒で優秀な人材を集める方法 視点や戦い方を変えれば大企業とも伍せる

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第二に、秋に就職活動をしているといっても、それは必ずしも「どこにも受からなかった学生ばかりではない」ということです。就職活動自体から遠ざかっていた人もいますし、あるいは春の挫折と失敗をばねに一回り大きく成長した人もいます。ポテンシャルとしては決して春の人材に比べて 見劣りするものではありません。

第三に、秋に就職活動をしている学生は、「もう後がないので、内定を出してから辞退されることがない」のです。春に就職活動をしている学生は、内定を出しても「考えさせてください」と言われて、結局、辞退されることが多いのですが、秋であればすくに内定受諾の返事をもらうことができるのです。

「インターンシップ」で優秀な学生を囲い込む

新卒採用がうまくいっていない会社の多くは、社長があまり採用活動に関心を持っていない会社だと言われています。もちろん、まったくの無関心というわけではないのですが、優先順位が低くて、部下に任せきりにしているのです。

そのような会社はたいてい、良い人材を獲得することかができません。社長の顔が見えなければ、その企業の特色もまた見えないからです。特色の見えない中小企業は、大企業に比べて規模が小さいだけで、何の魅力もない凡百の企業になってしまいます。

「この会社の将来ために、きみの力が必要だ。成長のために力を貸してくれ」という口説き文句を言えるのは社長だけです。一介の人事担当者には、それだけの動機も権限もありません。たとえむりやり口に出したとしても、うそくさくなってしまうのがオチです。

インターンシップは、2時間や3時間の面接しかできない採用選考に比べて、学生の資質や適性を見極めるのに最適です。また、適性を見るのみならず、自社をアピールするよい機会にもなりえます。

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なぜなら、知名度の低い中小企業としては、インターンシップは「採用広報活動」であり、インターンシップに参加した学生とコンタクトを取って、良い人材がいればフォローして勧誘につなげられる「採用選考活動」だからです。

中小企業が採用活動で最も困ることは、「学生の間で知名度がないこと」です。私たちが日常生活で、聞いたこともない会社の高額商品を買うことにためらいを感じるのと同様、学生も聞いたことのない企業に就職したいとは考えないのです。しかし、実際使用してその効果がよくわかっている商品が買うでしょう。同様に、インターンシップに参加し、良い印象を抱いた学生から、「会社の知名度」という障壁をぬぐい去ることができるのです。

中小企業が大企業と伍して採用活動の土俵に上がるには、まず会社について知ってもらって、知名度を上げなければなりません。

清瀬 一人 共同システム開発 社長

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きよせ かずと / Kazuto Kiyose

共同システム開発株式会社 代表取締役社長。 1967年、東京都生まれ。法政大学法学部卒。東証一部上場の商社に入り、アパレル部門で営業や企画を経験。その後、外資系企業に転職。自らこそNO1という癖の強い猛者集団の中で好成績を上げ、当時最短の1年でマネージャーに。経営コンサルタントとして独立後、同社の代表取締役社長に就任。現在は「第二創業期」というフレーズを全社員に浸透させ、次なる躍進の30年へ向けて事業を展開している。中途枠を廃止し「新卒」のみに絞った独自の採用活動を続け、これまで採用した新卒の離職率は0%を誇る。

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