努力は才能を凌駕する。AKB48と「和の心」

アイドル、あるいは努力している姿を常時見せる職業

本当に歌や踊りがプロの域に達してしまったら、
それはもうアイドルではない

長嶋茂雄さんという偉大なスターがいらっしゃいますが、それでもやはり、日本人がスマートな天才よりも、泥臭い努力の人を愛してきたことに、異論がある人はいないと思います。

21世紀の世の中になって随分と経つのに、いまだ甲子園で戦うのは坊主頭の球児たち。彼らがユニホームを土に汚し、間に合わないと知っていてもベースに頭からスライディングしていく姿にこそ、この国の人は「和の魂」を感じてきました。

もしこれが、茶髪でロン毛の選手たちが「いや練習なんて嫌いなんスよ」と言いながら試合していたとしたら。とっくに甲子園のスタンドはガラガラとなるか、あるいは女性ファンばかりになっていたことでしょう(どうも女性は同性については“たたき上げ”を支持し、異性に対しては“持って生まれたもの”を評価する傾向があるようです)。

というわけで、芸能の世界でも支持されるのは「努力の人」。とりわけアイドルともなると、それはもはや「努力している姿を常時見せる職業」ともいうべき存在でした。

そのあり方はとても複雑で「頑張って本当に歌や踊りがプロの域に達してしまったら、それはもうアイドルではない」という、パラドックスをはらんでいる。彼女(彼)らは「努力して未完成の姿を見せる」という不思議な頑張りをする人たちでした。

この伝統を究極まで突き詰めたのが、もちろんAKB48です。

次ページ努力型だよ、というアピール?
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ドラマな日常、日常にドラマ
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナでもブームは過熱中<br>不動産投資 天国と地獄

家計のカネ余りを背景に、マンションやアパートなどへの投資熱は冷める気配がありません。しかし、不動産投資にリスクはつきもの。先行きが見通せない状況で、何が優勝劣敗を分けるのでしょうか。現場の最前線を追いました。

東洋経済education×ICT