フランス生活に「マルシェ」通いは欠かせない 旬の食材そろう青空市場は社交の場でもある
行列に並んで順番を待つ。順番が来たら、まずは、「ボンジュール(おはよう)」と店の人とあいさつを交わす。「ナスを一つください」などと注文して、なんとか買うことができた。 予想通り、マルシェの野菜は新鮮でおいしかった。しかも、価格も手ごろだった。この朝以来、マルシェでしばしば買い物するようになった。マルシェに来るフランス人は、籐製の買い物かごを提げたり、買い物カートを引いたりしている。私も、近所の雑貨屋で買い物カートを購入した。
この八百屋は、パリ近郊の農家が栽培した野菜や果物を運んできて、売っているという話だった。マルシェには他にもたくさんの八百屋があり、外国産の野菜や果物を扱う店もあった。そういった八百屋に比べると、この八百屋の品ぞろえは、そう豊富ではなかった。しかし、この八百屋のおかげで、旬の野菜や果物のおいしさを存分に味わえた。冬の間は根菜中心で彩りも寂しいが、春の訪れとともに店頭が色鮮やかになってくる。葉付きのニンジンやラディッシュが、束にされて積まれる。4月ごろにホワイトアスパラガス、5月にはサクランボが登場する。サクランボは大きくて甘く、価格もそう高くない。
魚屋の威勢がいいのはパリも東京も同じ
6月ぐらいからはメロンが出回る。「メロンをください」と頼むと、店の人は「いつ、食べますか」と尋ねる。「明日」とか「日曜日」などと答えると、その日に食べごろになるメロンを選んでくれる。秋には、洋ナシやリンゴやマッシュルームが店頭に並んだ。洋ナシを買った場合、店の人は「2、3日置いてから、食べた方がいいですよ」などと助言してくれる。何度か買い物するうち、おまけをくれるようになった。たくさん購入したときだけだが、代金を払った後に、パセリの束を「はい、どうぞ」と渡してくれる。行列して順番を待っている間に、他の客と店の人のやり取りが聞こえる。にこやかにあいさつを交わし、「元気?」「今日は寒いね」などと言い合っている。
マルシェの魚屋では、新鮮な魚介類が手に入った。氷の上に、丸ごとか大きな切り身の魚を並べていた。タラやサケは大きな切り身になっており、「2人分」などと、必要な分量を伝えて切り取ってもらう。丸ごとの魚を購入した場合は、店の人から「ウロコを取って、はらわたを抜きますか」と尋ねられる。お願いすると、手際よく下ごしらえをして、サービスのレモンをつけて渡してくれる。日本でもそうだが、魚屋の店員は威勢がよい。エプロンをつけて長靴をはいた店員らと少し会話するだけで、こちらも元気が出てくる。
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