フランス生活に「マルシェ」通いは欠かせない 旬の食材そろう青空市場は社交の場でもある
フランス人の食生活を支えるマルシェ(市場)は、買い物をするだけでなく、店の人や他の客と交流する社交の場だ。マルシェには、常設市場と青空市場があり、常設市場は建物の中で、ほとんど毎日営業する。青空市場は週2回ぐらい、広場や通りに店を開く。フランスはヨーロッパ連合(EU)最大の農業国だけあって、豊かな食文化を実感できる場所にもなっている。
パリの街では、あちらこちらに青空市場が立つ。最初のフランス滞在で住んだ自宅近くの通りには週2回、マルシェが開かれた。初めてマルシェを見たとき、少し驚いたことを覚えている。ふだんは静かな通りにテントが張られ店が並び、お祭りのようににぎやかになったからだ。
会話をしないと買い物ができない
マルシェの日は、通りの両側に200メートルぐらいにわたって、さまざまな店が並ぶ。八百屋や魚屋、チーズ屋のほか、台所用品を売る店、洋服屋などもあった。だいたい、午前8時ごろから午後1時ぐらいまで開いていた。営業が終わると店のテントは片付けられ、元の静かな通りに戻る。
スーパーならば、購入したい品物をかごに入れて会計すればよいので、フランス語をあまり話さなくても買い物できる。しかし、マルシェでは、店の人に購入したい品物を伝えなければならない。会話をしないと買い物できないのだ。渡仏当初はフランス語があまり話せず、スーパーでばかり買い物していた。
しかし、マルシェの品物は新鮮と聞くので、ぜひ買い物してみたいと思っていた。ある朝、勇気を出して、よく前を通っていた八百屋へ行ってみた。この八百屋には、常連客の行列がいつも出来ていた。母親と息子の家族で切り盛りしているようだった。客は順番が来たら、店の人に購入したい野菜と数量を伝えて、代金を払う仕組みだ。
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