この夏はやっぱり米国株に注意が必要だ 「マネーの異変」は何がきっかけになるのか
今回の出来事では、ポンド安を背景に急激なドル高になったものの、一方でポンド円も急落しており、結果的に円が極めて強くなっている。この結果が、英国株と米国株の回復であり、日本株の低迷の要因である。
「日本株は一時期に比べて、ドル円との相関が低下しており、円高が日本株の額につながりにくい」との指摘も聞かれる。だが、大枠では何も変わっていない。
主要輸出企業の予算レートが110円で設定されているとすれば、今年度の業績の大幅下方修正は不可避であるとの考えに変わりない。また、人民元や韓国ウォンの対円での下落も、日本株の重石になっていると考えられる。以前にも、韓国が通貨安を利用して輸出シェアの拡大を図り、日本のアジア市場でのシェアが脅かされたことがあったが、現在も為替と株価の関係は変わっていない。円が他の通貨に対して強い状況が変わらない限り、日本株の本格的な浮揚は期待しづらいと言わざるを得ない。
当面の焦点は、米国株の高値更新があるかどうか
筆者の最大の関心事は、米国株がこのまま高値を維持し、昨年につけた史上最高値を更新するかどうかにある。想定以上に株価が堅調に推移する背景には、投資資金が世界の株式市場において消去法的に米国市場に向かっていることがあげられる。
自社株買いや高い配当を継続的に出す企業への投資は、株主からすれば様々な面で安心感がある。また、主要銘柄は必然的にグローバル企業が多く、成長の期待値も高い。また、事実として、米国株は大きく調整した後も、比較的短期間で回復し、高値を更新する傾向がある。
このように考えると、米国株に資金が流入しやすいのも理解できる。現在の世界の株式市場において投資を検討する際、まずもって安心して投資できる対象として米国株を選定することは理に適っているといえるだろう。
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