この夏はやっぱり米国株に注意が必要だ 「マネーの異変」は何がきっかけになるのか
英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けて、市場は大きく混乱した。だが、このところの市場動向を見る限りでは、一時的に落ち着きを取り戻しているといえる。
というのも、米国株は国民投票前の水準を概ね取り戻し、英国株もその水準を回復、年初来高値を更新したからだ。通貨安がその背景にあるとの指摘が多いが、いずれにしても、市場の関心は次のテーマに移るとみる関係者が多い。短期的には8日の米雇用統計から、少し長めで見ても米国の利上げのタイミング、さらに米大統領選挙など、注目材料には事欠かない。このように考えると、年末までは落ち着かない市場環境が続くことになりそうである。
欧州主要銀行の株価低迷は何を写すのか
今回の英国民の決断については、すでに材料としては消化されたと認識されている。しかし、不安要素は残っている。最大の注目点は欧州の銀行問題である。主要大手銀行の株価の低迷は、銀行が抱える問題が解決されていないことを意味しているものと思われる。問題がどのようなきっかけで明るみに出るのかは現時点では不透明である。だが、わからないがゆえに、少なくとも株価動向には常に注意する必要があろう。
また、今回のポンド安と英国株高でも確認できたことだが、結局はどの国も通貨安を欲しているということである。ポンド安が英国の主要株価指数を構成する企業業績を押し上げるとの思惑が株価を上昇へと向かわせたのだが、こうした通貨安を望む構図は、米国も日本もほぼ同じである。
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