原発停止の余波、電力向けバルブ首位の苦悩 火力発電向けは採算及ばず

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柏崎刈羽原発は岡野バルブの得意とするBWR(沸騰水型)だ(撮影:尾形文繁)。

日本の原発は、原子炉の型が2つに分かれる。1つは関西電力のほか、北海道、四国、九州の各電力会社のPWR(加圧水型)、もう1つは東京、東北、中部、北陸、中国の各電力会社のBWR(沸騰水型)だ。

岡野バルブはBWRを得意とするため、東電や東北電などの原発に強く、BWR各社の原発再稼働が業績に貢献する。

安倍晋三政権は今後、原発政策を見直す意向で、関電・大飯に続く再稼働を進める可能性もあるが、岡野バルブにとっては、しばらく厳しい状況が続きそうだ。

同社が1月中旬に発表した今13年11月期の業績見通しによると、売上高86.72億円(前期比3.9%増)、営業利益1.07億円(同68.4%減)で、4期連続の営業減益を見込む。

国内外で火力向け強化し苦境乗り切る

売り上げについては、新設バルブ部門は建設を再開したJパワー・大間原発向けや東電・千葉火力発電所向け、台湾の火力発電所向け大型案件があるため、48億円程度(前期は42.5億円弱)への回復を見込む。一方、メンテ部門は、全国各地の火力発電所向けや被災地の除染作業など小型案件を積み上げるものの、38億円程度(同41億円強)に続落となりそう。

また、好採算の原発定期検査工事が見込めないため、営業利益は前期の3.38億円から1億円強へと大幅に落ち込む見通しだ。

岡野バルブでは、当面の苦境を乗り切るため、国内では火力発電所向けバルブやメンテに注力するほか、海外では台湾、中国や東南アジアなどの火力発電所向けバルブを強化していく。将来的には、中国や米国の原発向けバルブにも食い込みたい考えだ。

柿沼 茂喜 東洋経済 記者

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かきぬま しげき / Shigeki Kakinuma

入社以来、一貫して記者として食品・外食、金融・証券、電力・ガス・石油、流通、精密機器、総合電機、造船・重機などの業界を担当。この間、『週刊東洋経済』『会社四季報』『金融ビジネス』の各副編集長、『株式ウイークリー』編集長、編集局次長などを経て現職。

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