スタジオアリス、大人向け写真館参入の意外 少子化だけが理由じゃない
今般、大人向け写真館事業に参入するにあたり、スタジオアリスはGRATZを新ブランドとして立ち上げた。これは「スタジオアリスといえば子供写真館」というブランドイメージが強すぎるため。ブランドだけでなく、スタジオアリスの顧客基盤の活用なども行わず、マーケティングは別途行っていく。また衣装調達もスタジオアリスとは別ルートであり、写真のラボもラインは別となる。
このように同じ写真館事業といっても、子供向け専門と大人向け専門とでは、販売や投資、生産面でシナジーは期待しづらい。ただ、スタジオアリスには「子供向け写真館で蓄積してきたさまざまなノウハウがある」(山本新規事業部長)。オプション料金のない明瞭な価格設定は、そのノウハウ活用の一例だろう。子供向け写真館市場を自ら開拓してきた経営力を武器として、大人向けでも、ブライダルの別撮りを軸に市場を創造していく構えだ。
出生数減少でも業容拡大続くが・・・
出生数の減少によって子供向け写真館の対象となる0歳から7歳の人口は減少を続けているが、多店舗展開や需要創造により市場規模は緩やかな成長が続いている。中でもスタジオアリスは業界リーダーとして市場を牽引し、最近では、七五三の早撮りサービスや誕生日など行事開拓による業務の平準化、閑散期の底上げが奏功し、業容を一段と拡大させている。
少子化が進むとはいえ、「子供の写真撮影の浸透率は30%強にとどまっており、まだ開拓余地は大きく、成熟化という段階ではない」(山本新規事業部長)。しかしながらその一方で、同業他社の新規出店や個人写真館の営業活発化によって、競争が厳しくなってきていることも確かだ。
そこで、ブランド戦略、筋肉質な企業体質作り、経営基盤整備などと並んで、子供写真館事業に次ぐ新規事業の開発が経営課題となっている。
前期(2012年12月期)には、すみだ水族館などアミューズメント施設でのスタジオ開設や、ショッピングセンターなどの催事での出張撮影サービスなど新機軸を打ち出しており、今期もまた新たな取り組みを用意している。ただ一連の新規事業の中でも、「子供写真館事業に続く第2の柱」として期待をかけているのが、このGRATZだ。
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