では、今回の混乱(Brexit)の当事者である英国よりも、日本のほうが下落率や上下の値動きが大きいということ、これはいったいは何を意味しているのだろうか?
外国人投資家は不在、円高が日本株の足を引っ張る
筆者は、東京市場には、Brexit以外に下げ要因が存在しているからと考える。それが外国人投資家の存在と円高だ。アベノミクス相場を演出した外国人投資家が日本株から離れているということは、これまでも何度か記述しているので省略するが、ながらく「買い手不在」となっていることが下げの要因にある。
もう一つの要因である円高に関してだが、足元の状況を考えると円安にふれる見込みは少ない。なにせ、今回のBrexitによるリスク回避の円買いのほか、11月の米大統領選挙の候補者がともにドル安政策を取る可能性が高い点、米財務省の「為替操作」監視リストに日本が対象となったこと、為替介入を協調で実施することが難しい点など、理由は山のようにある。
とりわけ米金利引上げ時期が後ズレしていることの影響が大きいと考える。「タカ派」(利上げに積極的)で聞こえる米セントルイス地区連銀のブラード総裁が17日に「2018年末までに利上げは1回にとどまる」との見通しを表明。「9月はともかく12月に利上げする気すら無くなったのではないか」と思われてもおかしくないほどの変化だ。
英国EU残留でも、日経平均は1万7000円手前まで?
実際、シカゴ・マーカンタイル取引所が算出している米国政策金利の市場予想を示す「Fedウオッチ(詳細については「日経平均1万7000円回復は、もう無理なのか」を参照)」では、12月までに利上げを実施と予想している割合は6割弱(東京時間22日15時時点)だ。
昨年12月に利上げしたときは7割強が利上げ実施を予想していたことから、「6割弱」では心許ない。このまま米利上げ時期がずるずると後ズレすると、ドルはより買われにくい通貨となってしまい、結果的に円高局面が続く可能性があろう。
結論だが、「EU残留」となった場合、売り方の買い戻しが進むことで、市場は、まずは日本株買い、ドル買い、欧州通貨買いで反応するだろう。ただ、上記のような問題を抱えていることから、日本株、ドルには新規の買いは入らず、売買代金はさほど伴わない反発を想定する。買い戻しが一巡した後の日経平均は1万7000円を前に上値が重くなろう。円高推移が改善されない限り、参議院選挙後になんらかの政策が発表されても積極的な買いは手控えられると考える。
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