有馬:では、こうした安倍政権の問題点をただすために、民進党や玉木さんは、どんなことができるのでしょうか。
もっと戦わないと、民進の存在意義がない
玉木:国民はだまされなくなってきています。「いい話には裏がある」と直感で感じています。一方で、われわれはみんなでデータを使って、国民にもっとわかりやすく示していく必要があります。さきほど説明したように「増税がなくなるというと一見都合がいいが、その分、老後や子育てに必要なお金が消えてしまいます」と。丁寧に何度も言い続けるべきです。
逆に言えば、旧民主党は増税をして何をやろうとしているのか、そのメッセージが弱かった。国民にもっと明確にメリットと負担の関係をわかりやすく説明すべきでした。そこが大きな反省点です。
また増税によって増える税収の配分についてももっと説明すべきでした。消費増税を「5%→10%」にするとき、簡単に言えば、増税分の5%のうち「8割の4%分」については、赤字国債でまかなわれていた社会保障政策に安定財源を充てることに、そして「残りの2割の1%分」を、福祉を充実させる新しいメニューに充てるというものでした。
しかしこの配分の見直しも含め、増税で何ができるのかをもっとわかりやすく説明していきたいと思います。例えば教育の無償化です。大学の授業料無償化(合計約2兆円)に加え、幼稚園、保育園も含め消費税2%分があれば教育の完全無償化ができます。教育無償化をしっかり打ち出して、その分に必要な負担をお願いするということをわかりやすく言えば、国民の理解をもっと得られるはすです。
有馬:安倍首相もいったん政権の座から転げ落ち、その反省をもとに二回目の政権を運営しています。権力を持っていなかったらやりたいことができないからです。それだけに良し悪しは別として「目的達成のためには手段を選ばない」という迫力はあります。
ひるがえって今の民進党に政権を全体で奪取するという気概はあるのでしょうか。この連載で何度も言っていますが、弱いように感じられます。例えば落選した議員も呼んで、党の方針を伝え、みんなで党の新しい政策を訴えるために辻立ちするとか、やることはいくらでもあると思います。
玉木:もっと戦わなければなりません。戦わない野党に存在価値はありません。今回安倍首相は熊本の大震災なども理由に衆議院の解散を見送ったようなことを言っていますが、野党側としてはも、本来は「解散はいつでも受けて立つ。自分たちのほうが与党よりも、よりよい政策を実行できるのだから」という姿勢で攻めなければダメです。結局、解散総選挙がなければ政権や政策は変わらないのですから。
そのためには、一人ひとりが「選挙」や「政策」における能力を磨き、チーム力を高めていかねばなりません。
特に「民進党は、新しい会社になった。社長や専務の顔もわかる。だがいったい、何を売る会社なんだかかわからない」と言われます。やはり民進党らしい「新しい商品」すなわち「新しい政策」が必要です。幸い、当選「3期生」以下の人材には柔軟で豊かな発想を持った政策通がたくさんいますので、これからの政策に期待してもらいたいと思います。私も貢献したいと思います。
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