GHQは「日本国憲法」をこう読んでいた 英語版でわかる、憲法の「二枚舌」
よく知られているように、現行憲法は、下敷きとして「マッカーサー草案」による草案を提示され、それを大幅に改訂してできあがったのが、現在の憲法です。
実際の作業では、法制局の佐藤達夫第一部長と、GHQ民生局次長のチャールズ・L・ケーディスを中心としたメンバーが、徹夜の作業で完成させたといわれています。
つまり英語版憲法は、GHQ側の責任者が「これでOK」と認めたものであるため、普通の翻訳版ではない、憲法のもうひとつの姿と言えるのです。
さらに英語版は、英語という言語の特性上、主語や目的語が明確になっています。この英語版を紐解くことで、日本語版ではあいまいだった点などが明らかになってきます。
英語版憲法は、リーダー演説だった
それでは、まず前文の最初の文章を見てみましょう(ものすごく難解なので、英語が苦手な方は、飛ばして解説をご覧ください)。
ここで注目したいのは、主語である We, the Japanese people, の部分です。
We の後ろにあるコンマは同格のコンマで、We と the Japanese people がイコールの関係にあることを示しています。つまり、「私たち日本国民は~」と、一人称になっているのがわかります。
また、後半に出てくる proclaim という単語は「宣言する」という意味ですが、do proclaim と強調されています。つまり、気持ち的には、「ここに宣言するぜ!」といった感じで、高らかに宣言していることが伝わってきます。
ニュアンス的には、「私たち日本国民は~」と始まっており、一国のリーダーが演説しているように、高らかに「宣言」しているのが、前文の真の姿だと言えるのです。