日本の平和憲法は、「降伏」に向かいつつある 国民は安保よりも景気に関心

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安倍首相の改憲論議には不況が神風なのか? (写真: ロイター/Yuya Shino)

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日本の安倍晋三首相は2月に国会で、紛争解決の手段としての戦争を放棄している憲法9条の改正に言及し、第二次世界大戦後に米国が草案を作成した現行憲法には「時代にそぐわないものもある」と発言した。彼は特に、陸海空軍その他の戦力の保持を禁止するとの条項が、自衛隊の存在と矛盾するとの問題意識を示した。

一見すると、安倍首相の提案は不評のように感じられる。ある調査によると、日本人の50.3%が憲法9条の改正に反対しており、支持するとの回答率は37.5%にとどまっている。

反対は広範だが根強くはない

だが、首相にとっての朗報は、彼の取り組みへの反対論が、広範ではあるがどうやら根強くはない点だ。安倍首相が日本を導こうとする方向に関する有権者の関心は、この問題を最優先課題にしようとする彼の熱意ほどには高くない。

憲法改正は、論争の種となっている首相の防衛政策に強力な法的後ろ盾を与えるものになる。昨年成立した安全保障関連法(安保法)は、日本の軍隊の海外展開に関する制限を撤廃し、自衛の定義を拡大して同盟国の支援を含めるものだ。

これもまた、少なくとも表面上は支持を得られていない。日本人の有権者の約51%が安保法を容認しない一方、支持したのは30%であった。ただ、同法の廃止を望むとしたのは、38%にとどまっている。

日本人の多くは、首相が防衛政策を変更すれば日本が戦争に巻き込まれる可能性が高まり、それが戦後平和主義の終わりにつながるのではないか、と危惧している。

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