新興国の光と影
ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院の代表的な授業といえば、「Global Initiatives in Management」(経営におけるグローバルイニシアティブ)だ。
3カ月間をかけて、特定の国・地域のビジネス、政治、文化について学び、授業の最後には、2週間の実地調査がある。
学生は、中国・モンゴル、インド、日本・韓国、東南アジア、南アメリカ、中東、南アフリカの7つの地域から、興味のある地域を選ぶ。
授業の前半は講義で、後半はその国にちなんだゲストスピーカーが講演をする。各授業は、学生主体で進められ、学生リーダーが、教授にアドバイスをもらいながら、カリキュラムを作っていく。『どういう講演者を招聘するか』『どういう企業を取り上げるか』を決めるのも、すべて学生リーダーだ。
この授業で特徴的なのは、調査先として出身国以外の地域を選ぶ人が多いこと。
井上さんも、日本を選ばず、あえて、「南アメリカ」を選び、学生リーダーに立候補した。教授による厳しい書類選考と面接をクリアし、見事、リーダーに選ばれた。南アメリカを選んだのは、一度も行ったことがなかった地域だったことと、ラテンアメリカ出身の友人が多かったことが理由だ。
授業のハイライトである実地調査で、井上さんのグループは、ブラジルとアルゼンチンの企業や団体を訪問した。ペルー出身の講師がアドバイザーとして同行するが、リーダーは井上さんだ。
ブラジルでは、オリンピック委員会やワールドカップ委員会、アズール・ブラジル航空(格安航空会社)、TV Globo(ブラジル最大の民放テレビ局)、Natura(化粧品会社)、アルゼンチンでは、アルコア(製菓会社)を訪問した。
「訪問先は、今、南アメリカで勢いのある組織、企業を選びました。ケロッグの看板がなければ、なかなか訪れることができないような訪問先ばかりです。私たちの訪問を受け入れてくれたのは、ケロッグの学生を積極的にリクルーティングしたいということもあるようです」
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