新人に英語本500冊を読破させる会社 クレハ、超過劇な英語勉強法
これまでの英語力支援は、自己啓発が基本だった。毎週1回ネイティブの先生が本社に来て、1クラス4人の少人数で2時間レッスンし、半年間の本人負担受講料は4万円。本社には4つのクラスがあり、工場にも同じような仕組みのクラスがある。通信教育のプログラムもある。いずれも修了した者には、受講料の半額を返す。
日本人は、英語のインプット量が少なすぎる
しかし、個人のやる気に依存する自己啓発では限界がある。そこで強制的にやらせる仕組みを考え、「英書3年で500冊を」という多読法を導入した。
――多読法は昔から存在する語学学習法ですが、導入している企業は少ないと思います。それに3年で500冊は過激で、1年で170冊、毎週3冊はかなり多いという印象を持ちます。
まず多読法を導入した理由を説明しよう。日本人はかなり長期にわたって英語を学習しており、中高の6年間に大学の教養課程の2年間を合わせると8年間学んでいる。しかし実際に英語を操ることのできる人はとても少ない。少ない原因は、英語のインプット量が足りないからだと思う。
中学3年間で触れる英語はわずかに3万語程度だ。高校、大学では多少増えるだろうが、インプット量としては圧倒的に足りない。アウトプットできるようになるインプット量はそんな少ない語数では無理だ。そこで多読法を導入したわけだ。
ただし、読むのは辞書を引かずにほぼ読むことのできるレベルの本だ。人事部で購入したのは、ペンギンリーダーズ、マクミランリーダーズなどの、英語が母国語でない人を対象に編集された英書で、それぞれの本にはいくつの語が使われているかが表示されている。小説『レ・ミゼラブル』の簡略本は100ページほどのボリュームで3万語だ。1000語くらいの本もあり、これなら5分程度で読める。
新聞では「500冊」と報道されたが、これはわかりやすくするために使った表現で、3年間で「300万語」を読むことが目標になっている。
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