新人に英語本500冊を読破させる会社 クレハ、超過劇な英語勉強法

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また、新たな試みとして、英語発音セミナーを開催しようと考えている。1回3時間の集中プログラムで英語の正しい発音を身に付けさせる。そして1カ月が経った段階でもう1回集中プログラムを実施し、自分の発音をもう一度チェックさせる。自分が発音できない音は聞き取りもできない。発音は重要だと認識している。

――多読法によって英語力が身に付いた段階から真のグローバル人材の育成が始まると思いますが、どのような施策を考えていますか?

クレハが海外進出したのは1970年代、80年代であり、現在のグローバル体制はアメリカ、ヨーロッパ、中国に統括会社があり、その下に事業会社がぶら下がる形になっている。統括会社の社長は本社の役員が兼任しているが、事業会社は社長以下全員がローカルスタッフ。この体制で事業は安定的に推移しており、昔に比べ海外赴任する機会は減っている。

山田文彦・クレハ管理本部 副本部長 兼人事部長
1984年慶應義塾大学法学部卒業、呉羽化学工業(現クレハ)入社。新入社員時代は錦工場(福島県いわき市)の勤労部で人事の基本を学ぶ。2004年工業薬品部長、2007年リビング東京営業部長、2008年リビング営業統括部長、2011年人事部長を経て、2012年より現職。

海外経験者の割合は、役員では半数が海外駐在しており、部長クラスでも半分弱は経験者だ。ところが課長クラスになると1割しかいない。つまり現在では海外でのビジネス経験が得にくくなっており、グローバル人材育成のネックになっている。

そこで今考えているのは、人材育成の観点から海外の事業会社にトレーニー的に社員を送り、海外経験をしてもらう方法だ。たぶん給与は本社が負担せざるをえないだろうが、グローバル人材の育成のための支出として割り切り、実施したい。

――採用時に一定の語学力のスコアを課す企業が増えていますが、クレハは導入する予定はありますか? また外国人採用について取り組んでいますか?

語学力を応募資格に盛り込む予定はない。選考で重視するのはあくまでも人物だ。外国人の採用は実績があり、この数年で理系2人、文系1人が入社している。ただし意図的に採用したわけではなく、応募学生を人物本位で選考したら、たまたまその学生が中国人やインドネシア人の留学生だったということ。

ただ今年は初めての取り組みとして、11月に北京大学に行った。クレハに興味を持つ現地の学生の中から現地のエージェントが30名に絞り、その選抜された学生を面接した結果、3人に内定を出した。

今回の中国人学生のうち文系の2人は日本語が堪能だが、理系の1人は英語がかなりできるものの日本語はまったく話せない。この1人からは、入社までに日本語の習得が必要かと質問されたが、「日本語は日本に住めば自然と覚える。それよりも英語力をさらにブラッシュアップさせ、テクニカルタームを含めて高度な技術英語を駆使できるようになること」との宿題を出したところである。

 

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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