アベノミクスは、国債市場の安定を崩すのか 市場動向を読む(債券・金利)
そして、その際に「金融政策」の役割として重要なのは、「金融政策」が拡張的な「財政政策」を助長するという点においてである。すなわち、中央銀行が政府債務のファイナンスを肩代わりしてくれることに、政府が安住し、一段と拡張的な「財政政策」を指向するようになることこそが、いわゆる「マネタイゼ-ション」の最大の問題点であると言えよう。逆に、そういう構図における中央銀行の国債購入こそが「マネタイゼ-ション」の実質的な定義であると言ってよい。
債券投資家が注目する重要テーマは「再乗換」
例年より1~2カ月遅れでの編成となる来年度当初予算の編成においては、国債発行における隠れた重要テーマとして、日銀が国債の「再乗換」にどの程度応じるのかというポイントがある。
日銀は、国債の買い切オペ(輪番オペ)で市場から購入している長期国債について、政府からの償還時に慣習的に1年物TB(財務省短期証券)を政府から直接引き受けて1年だけ政府からの現金償還をロールオーバーしている。これは日銀乗換(のりかえ)と呼ばれている。通常これは12兆円以下の規模だが、2012年度はたまたま17兆円弱にまで拡大(右表)、13年度はまた通常の水準に戻る予定である。12年度対比で日銀乗換が減少する分、来年度の市場での国債発行額は増大することになる。
そして、毎年行われているわけではないが、日銀は通常の1年限定でのTBでの乗換を更にもう一年ロールオーバーする「再乗換」を行うことがある。これは09年度以来行われていないが、今年度補正予算と来年度当初予算で国債の市場発行額が大幅に増加することを抑制するために、「再乗換」の実施が検討される可能性がある。
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