コンサルタント、占い師、「キャリアポルノ」…
なにかに人生の指針を求めるのも人間の真実では?
かつてに比べると今の世の中は選択の幅が広がって、私などはこれはいいことだと思います。
しかし問題は、そんな織田信長みたいに、あるいは元中日監督の落合博満氏のように「オレ流」で迷いなく生きられる人なんて、そうはいないところ。ましてや史上最大の情報量に囲まれている私たちにしてみれば、むしろ選択肢があり過ぎで、これはこれでけっこう大変なことなのかもしれません。
棋士の羽生善治さんも、「選択肢が少ないほど迷うことも少ないし、後悔することもない」とおっしゃっていました。
マーケティングでも「選択肢が少ないほうがむしろ買ってもらえる」という有名な実験がありますし、心理学でも「人は選択肢が多いほど、後から自分の選択を後悔する確率が高い」というリポートがあります。
あまりにも選択肢があると、人はむしろ無力感を感じてしまうそうで、これはフリードマンも予想していなかったことではないでしょうか。
いや「そんな主体性のないことではいかん」と怒られるのかもしれませんが、実際のところ実績ある企業経営者でもコンサルタントに頼ったり、それどころか占い師に助言を求めていたりするわけで、それもまた人間の真実だと思います。
先日、世の中にあふれる自己啓発本や経営者の伝記を「キャリアポルノ」と評してののしり、注目を集める人がネットに現れました。しかし私などは「選択肢あり過ぎ」の現代、人がそうした書物に人生の指針を求めるようになるのは無理もない、当然のことではないかと思います。
もっとも私のこのような意見は、「選択肢ありすぎ」の現代ではウケない。もっと明快に、辛口に何かを切って捨てるようなものでないと駄目だという現代のジレンマに直面するわけですが。
撮影:今井康一
【初出:2012.12.22「週刊東洋経済(PB商品の裏側)」】
(担当者通信欄)
サ○ウェイのサンドイッチ選びにさえ悩んでしまうのを思い出してドキッとしました。しかしほぼ毎朝同じものを頼むス○バで、注文する前に店員さんの手にソイカードが用意されていたりすると、ありがたい一方「(選ばせて!)」と他のものを注文してしまったり。小さな選択でさえこの調子、人生の選択ともなるとせめぎあいは大きくなりそうです。
さて、堀田純司先生の「夜明けの自宅警備日誌」の最新の記事は2012年12月24日(月)発売の「週刊東洋経済(特集は、2013年大予測・2050年未来予測)」で読めます!
【そもそも電子書籍のビジョンとはなにか。】
キンドルが話題になっていますが、そもそも電子書籍はどこを目指しているのでしょうか?アマゾンのジェフ・ベゾス氏や人気漫画化の赤松健さんのビジョンも必見です。
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