「ロキソプロフェンナトリウム水和物にかぎらず、どの解熱鎮痛薬にも、血を固める血小板の機能を低下させるなど、何かしらの副作用が伴います。用法・容量を守ることが大切であり、これまで使用して副作用がなかった方が、むやみに怖がる必要はありません。月に2~3回の頭痛のときの使用で、痛みが治まるようならば問題はないといえます。逆に、薬を飲まずに頭痛を放置すると、脳が興奮しやすくなり、頭痛を悪化させやすくなります。また、毎日のように市販の鎮痛薬を飲むといった薬剤の使用過多もよくありません。いずれも脳過敏症候群につながり、慢性頭痛の原因になるのです」
脳過敏症候群は、清水氏らの研究チームが、2011年に国際的に提唱した新しい頭痛の分類である。片頭痛を放置すると脳は興奮しやすくなるが、市販薬を毎日のように飲んでいても、表面上の痛みは軽減される一方、痛みの水面下で脳の興奮状態を高めてしまうという。気温が少し上がるといったわずかな環境の変化にも、脳は過敏に反応するようになり、慢性的な頭重感や耳鳴り(頭鳴)もしくは、難治性のめまいなどに悩まされるようになるそうだ。
「脳過敏症候群の人は、脳波の検査をすると一目瞭然です。脳が興奮状態になっており、頭痛、耳鳴り、めまい、難聴に加え、夜眠れない、不安感や抑うつ感が強まる、物忘れが激しいなど、さまざまな症状を抱えています。鎮痛薬では治りません。脳の興奮を鎮める薬で、時間をかけて適切に治療を受けることが大切であり、自己流に対処していると、症状は悪化の一途をたどってしまうため注意が必要です」(同)
脳の興奮を鎮める和食がおススメ
頭痛の種類はいろいろあり、対処法も異なるが、中でも最も多い片頭痛対策について、清水氏は次のようにアドバイスする。
(2)晴れた日の強い紫外線も脳へ刺激を与えるため、外出時は、日傘や帽子、サングラス、長袖シャツなどで防備する
(3)片頭痛は室温が高いと血管が拡張して痛みが生じやすいが、室内外の温度差が大きくても刺激になるため、温度調節はこまめに
(4)喫煙や飲酒、慢性的な多量のカフェインは控える。ただし少量のカフェインは利尿作用により脳血管もむくみを改善し、片頭痛を軽減するためお勧め
(5)赤ワイン、オリーブオイル、チョコレート、チーズ、ハム、かんきつ系の果物など、血管拡張作用のある食材の多量摂取は避ける
「海藻類などに含まれるマグネシウム、うなぎなどに含まれるビタミンB2、カルシウムや食物繊維などは脳の興奮を鎮め、脳血管を安定させる作用があるため、それらの成分を含む和食はお勧めです。ただし、一度にたくさん食べてしまうと消化管に血液が集中して脳の虚血を来たし、その結果、脳が興奮しやすくなるため、1日3食、腹八分目を心掛けましょう」
パソコンなどの同じ姿勢での長時間作業により、筋肉が緊張して頭痛につながる緊張型頭痛もある。頭の両側が締め付けられるように痛むのが特徴で、この場合は、入浴、マッサージ、ストレッチといった筋肉をほぐし、血管を広げて血流をよくすると、痛みは軽減される。メカニズムが異なる片頭痛の人が行うと、悪化させてしまうそうだ。
「頭痛の種類によって、対処法も治療法も異なります。頭痛が何回か続くようでしたら、自己判断せずに医療機関を受診しましょう」と清水氏は話す。梅雨の時期に生じやすい頭痛は、正しい対処を心懸けて!
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