サムスン3代目の経営手法に「注文」が殺到

韓国の経営学者5人の採点簿は?

構造調整が「選択」の過程であれば、新たな成長のためのエンジンを探して「集中」することが次なる課題となる。李在鎔副会長は、グループの三大主軸を電子、金融、バイオに据えていると思われる。しかし、具体的にこれらの事業でどのようにして稼ぐかについては、そのビジョンが相対的に未熟だ。

5人のうち、「企業買収作業の速度を上げるべきだ」とイ・ギョンモク教授は言う。それは、「李副会長はまだ、これといった事業を買収できずにいる。グーグルやアマゾン、フェイスブックなどのグローバル企業は、とてつもない早い速度でM&A(企業の合併・買収)を行い、新たな領域に手を広げている」ためだ。

M&Aのスピードをさらに上げるべき

イ・ギョンモク教授は、「グーグルは10年間で約180社を買収したが、ユーチューブやアンドロイドなど会社を買収するたびに新領域を開拓した。サムスンが超一流企業になりたければ、もっと変身するスピードを上げるべきだ」と注文する。

また、「売るスピードではなく、買うスピードを上げるべき。サムスンにはいまだに製造業的なマインドが残っている。製品を自ら直接作って、売ろうとしている」と手厳しい。プラットフォームをつくって新事業を行ってこそ、既存のファストフォローワー(fast follower)戦略から抜け出せるという意味だ。

李副会長が言う「スタートアップ文化」は、サムスンに可能だろうか。これについては、懐疑的な見方がある。イ・ビョンテ教授は、海外企業としては珍しく多様な事業分野を持つGEもまた、韓国の大企業と似たような官僚主義、閉鎖的な雰囲気に囚われていたとし、「ボーダレスな企業文化を構築することが、最大の宿題となるだろう」と指摘する。

イ・ビョンテ教授は、組織文化を変えるならば、長期的なリーダーシップが必須と言う。「GEの取締役会は最高経営陣を選ぶ際、20年前後の任期を保障している。戦略的な観点から企業文化とポートフォリオを変えることができることも、このような長期的なリーダーシップがあるためだ」と説明する。

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