サムスン3代目の経営手法に「注文」が殺到

韓国の経営学者5人の採点簿は?

サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長

サムスンの事業構造改編が、グローバル企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)を思い出させるという見方も多い。

2016年4月にGEのイノベーションフォーラムに参加したイ・ビョンテ教授は、「トップになれない事業は整理するという李在鎔副会長の哲学は、ジャック・ウェルチ元GE最高経営者が言い続けてきたこと。収益性よりは将来性を見て資源を集中すべきと言っているが、実はジャック・ウェルチの主張だった」と紹介する。

GEは2007年に世界トップを死守していたプラスチック事業部を売却、2009年にはNBCユニバーサルの株式を売却した。2015年には、金融事業部をすべて売却すると発表している。

黒字だからこそ売却する

収益が高い事業であっても、成長性が少なかったりリスクが大きければ整理し、より成長性が高そうな分野に集中すべきと判断したためだ。サムスンが売却した化学会社はいずれも業績はよく、そのため「失敗した構造改革」との批判がある。

だが、5人の教授全員が「それは誤った指摘」と断言した。チャン・セジン教授は、サムスンがハンファとロッテに売却したグループ会社の業績は大幅な黒字だが、「黒字だから残すという判断は間違っている。黒字ではあるが、長期的な方向性から外れる事業こそ整理することこそ構造調整だ」と説明する。

赤字の事業は人気がないため売却が難しい。そのため、赤字事業の整理は構造調整にならない。それならば、その構造調整から何が得られるのか。チャン教授は「新規事業に投資するキャッシュを確保できるだけでなく、経営者の時間と労力を確保できる」と指摘する。

通常、最高経営者はうまくいかない事業に多くの時間をつかうものだが、それはサムスンの経営陣も一緒だという。チャン教授は「サムスンにとっては、成長可能性が高いバイオや電子、金融事業により多くの経営者を置いてその能力を発揮させるべきであって、将来性のない事業に縛られるようになればおかしい。結局、戦略とは、希少な資源を効率的に配分することだ」と言う。

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