サムスン3代目の経営手法に「注文」が殺到

韓国の経営学者5人の採点簿は?

サムスンの最近の事業構造再編に関する動きを見てきたソン・ジェヨン教授は、李在鎔副会長の戦略的決断を肯定的に評価する。ソン教授は「GEのジャック・ウェルチ会長と会ったとき、彼は自らを“事業ポートフォリオのマネージャー”と自称していた。事業単位には関わらないと言っていた」と振り返る。

ただ、韓国社会におけるサムスンの影響力が強いため、李副会長にかけられる社会的期待が高すぎることをソン教授は心配する。期待に応えようとするあまり、短期的な成果だけにこだわるようになってしまうためだ。

ソン教授は「長期的な視点で見るべきで、実はこの2年間の成果で李副会長を評価するのはあまりにも拙速だ。短期的成果にこだわれば、費用を減らし収益を上げるだけになる」と言う。李健煕会長が研究開発やデザイン、ブランドマーケティングなどを長期的な視点で強化したように、李副会長もより長い目で見るべきだという。

企業ビジョンのさらなる共有を図れ

また、李在鎔副会長がグループのビジョンを社内外で共有しようとする姿勢もまだ足りない、という批判も出た。シン・ドンヨプ教授は、李副会長の構造調整や組織文化の革新について「方向性は正しいが、社内外で具体的な方向性が共有できずにいる」と心配する。事が終わった後に「売却した」「組織改編を行う」と言っても、そんな姿勢には誰も共有、共感できないということだ。

ジャック・ウェルチは、不確実性に対して誰もが不安に思うことを熟知し、またきちんと管理していた。GEに何か変化が生じそうであれば、「口臭が出るほど」朝から晩まで繰り返しながらそれを説明していた。シン教授は、李健煕会長は話題を起こすような言葉や表現を使ってコミュニケーションすることで有名だった。

だが、李副会長はそれとは違うやり方をすべきだと助言する。シン教授は「李健煕会長が経営の最前線にいたときは、今よりも経済状況が複雑ではなかった。そのため、話題になれば誰もが理解できたが、今はそんな時代ではない。もう少し丁寧に、洗練された表現をつかってビジョンを提示すべき」と提案する。

(韓国『中央日報エコノミスト』2016年5月30日号)

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