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「昔の方法で戦争を行っている」と軍上層部が指摘され、その方法の見直しを勧められたとしよう。その場合、指摘する側にはどんな心情があるだろうか?
おそらく、過去と同じ武器や戦闘方法を取るのは間違いだとの認識があり、軍部の士気の変化など、その他の要因には目が届いていないケースも多いのではないだろうか。
同様の状況は、金融危機の回避を使命とする金融当局にも当てはまる。過去の危機に対する認識に沿って規制を設け、その後の大衆心理の変化を見落としてしまい、次の危機への対処に遅れる事態が、現在も続いている。
現在の規制ではいまだ不十分
スイスのバーゼルに本部を置く金融安定理事会(FSB)の最新の進捗報告では、世界の主要24カ国において、経済の安定性を高める金融規制の明確な改善があったとされた。実際、14の規制分野において進展を示す表も公開された。しかし現実には、金融市場は安心できる状況には至っていない。現在の規制では、まだ不十分といえる。
具体例を挙げよう。リーマンショックが起こった2008年以降、一部の国で設けられたMMF(マネーマネジメント・ファンド)の規制がある。多くの国でMMFは個人の資産を管理し、銀行の代替として活用されていた。そのため銀行預金の場合同様、取り付けが発生する可能性もわずかながら抱えていた。
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