インドが経済の急成長より安定をめざす理由 国際市場に左右されない政治体制を作れるか

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インド準備銀行のラジャン総裁。そのビジョンは何か? (写真: ロイター/Joshua Roberts)

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先進諸国が大胆な金融政策を推し進め、需要の刺激策を打ち出している。その結果、金融市場でボラティリティが高まり、私が中央銀行総裁を務めるインドのような新興国にとっては懸念材料となっている。投資家がリスクオンの姿勢を取る結果、急増する資本流入に直面するかと思えば、急にリスクオフの姿勢に変わり、資本流出の事態に直面することもある。

こうした国際金融市場の不安定さとどう向き合うか。インドはマクロ経済安定に向けた国内基盤の構築にまず取り組むことで、外的変動のリスクに対応している。

最新のインド国家予算では、財政規律の重視、公約の実現、農業分野などの構造改革の実施などが示された。実際、経常赤字を国内総生産(GDP)比1%未満にとどめるという目標は達成圏内にあり、今のところインフレも目標レンジ内に収まっている。今後、インドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)に新設された金融政策委員会によって、より多くの効果的な政策が導入されることになるだろう。

不良債権処理は今年度末までにメド

インドでは銀行の新規貸し出しの増加が課題となっている。そこで不可欠なのが、不良債権の処理である。先進国とは異なり、インドには有効な倒産のスキームが存在しない。しかし、そのスキームを創設する法案が、すでに下院議会を通過している。さらにRBIが生み出した「法廷外解決」のメカニズムと政府の資金援助とを組み合わせ、銀行は2016年度末までに十分な引当金を積み、不良債権処理にメドをつけようとしている。

今後最も困難な課題は、経済の急成長を期待する国民に対し、まず経済の安定確保が不可欠だと説得することだろう。多くの国民はどんなに経済的リスクが目についても、つねに成長のほうが重要だとの姿勢を変えない。

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