(第10回)採用戦略が会社そのものを変えつつある【トランスコスモス】

--世の中の雇用を取り巻く課題にしっかり対応されていますね。社内外の印象はかなり変わりましたか。

 採用方式を変え、採用ブランディングに真剣に取り組み始めて数年になりますが、学生、大学、取引先など、世の中のトランスコスモスに対する評価や視線がかなり良い方向に変わってきていると思います。そして、そのような変化を社外だけでなく社内に対してもしっかり情報発信をしなければいけないと考えています。新しい人事制度も踏まえ、社員に向けて少しずつ、「最近会社はいろんなことをやり始めているな」「何か変わってきたぞ」「良いことやっているな」と皆が実感し始めて、全体が底上げされて変わってくるのが理想です。採用ブランディングと同様、外向けに地道にこつこつとやってきたように、派手なやり方は必要だとは思っていません。小さくても、きちっと確実にやりきっていく施策に取り組んでいきたいですね。

--採用ブランディングへの取り組みを契機に、積み上げてきたものが採用成果に結びついているのですね。

 直近3年間の実際の採用数は、704→745→932名で推移しています。ただし目標は各年850~900人近くで設定していましたので、やっと今年、一番厳しい売り手市場の年に計画を達成できたことになります。
これまで、大型イベントに参加して学生の行列や待ちが出るようなことはありませんでしたが、今年からはそれが当たり前の現象としてあらわれました。エントリーについても3万から3.5万と順調な伸びを見せましたし、説明会の動員状況も110%に伸長しています。
 最終的な成果については、なんといっても各部門の採用を預かる現場の担当者の思いや熱さが学生に与えている影響が大変大きいと思います。部門によってはほぼ一年中、モチベーションを維持して、採用に協力してくれている。どんなに忙しくても、実際に各部門の採用担当者が1対1の面接をやり続けてくれる情熱には本当に頭が下がる思いです。

--最後に名倉さんにとって採用の仕事とは何ですか

 採用の仕事はプロの仕事でなければならないと思います。人事マンはよく一通り全部経験しないと一人前じゃないと言いますが、私は採用のプロ、人材開発のプロ、人事企画のプロ、労政のプロというように人事のなかでも分野ごとにプロが必要だと思っています。変化が激しく様々な要素が複雑に絡み合う今の時代では、その道のプロでないと正確なジャッジや適切な指導がスピーディにできないという事態が起こります。採用担当者を取り巻く環境がこれまで以上に厳しくなり、社会問題となって様々な形でリンクしてくれば、採用のプロは、今や時代が要請する仕事だと言えるのではないでしょうか。

【このひとにお話をおうかがいしました】
名倉英紀(なぐら・ひでき)
トランスコスモス株式会社 人事本部本部長代理 兼 採用推進部部長

昭和58年4月丸栄計算センター株式会社(現トランスコスモス株式会社)入社。平成2年4月上場推進プロジェクトの副部長、平成4年4月からCAD事業部長。その後、教育企画部長などをへて、平成17年4月より現職。

 「新卒採用の仕事は本当に大好きで、モチベーションが高く保てますね」と語る。特にお互い素を出し合って語り合えた学生との出会いは格別に楽しく、多くの刺激を受けるという。
 新卒採用を担当して3年。「新しい採用手法で入社してきた社員が現場で活躍しています。そういった人たちの中から採用担当者が早く出てきてほしいですね。自分がしてもらった就職支援を、今度は社会人の立場で自分がお返しする。そんな良いサイクルができてくると当社の採用にとってまた新たな戦力が加わります。」

【会社/採用データ】
2008年4月入社 932名
2007年4月入社 745名
2006年4月入社 704名

■各種データ※H19.3末現在
<雇用・人材活用>
従業員数【合計】7520人 【男】4604人 【女】2916人
平均年齢【合計】30歳8ヶ月
勤続年数【合計】 4年2ヶ月

<休暇・諸制度>
育児休職【取得者数】93人(H18年度実績)
【育児休職期間(最長)】産後期間終了後、該当子が満1歳になるまで(半年間延長申請可)
その他制度 育児短時間勤務 など
※撮影 尾形文繁
採用プロドットコム株式会社
(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
採用担当者のための専門サイト「採用プロ.com」を運営。新卒、中途、派遣、アルバイトなどの採用活動に役立つニュース、情報、ノウハウを提供している。

キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナショックの大波紋
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 溺愛されるのにはワケがある
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「賃料補助」は焼け石に水<br>飲食店を追い込む“遅い政治”

多くの飲食店経営者が自粛要請に応じています。政治に求められるのは救済プランの素早い策定ですが、与野党案が固まったのは5月8日。せめて第1次補正予算に盛り込まれていれば――。永田町の主導権争いが、立場の弱い人たちを苦しめています。