過去最多1504人競う「ドタバタ選挙」の舞台裏 党首演説からは見えない候補者の等身大の姿
ただ菅氏側近の東京都議は「かなり厳しい選挙だ。前回と違って選挙ポスターを張らせてくれない所もある。引退したほうがいいんじゃないかという声も少なくない」と苦しい胸の内を明かす。前回は地元に入れないほど、ほかの選挙区で応援依頼があったが、今回はほとんどないという。公示日の12月4日朝には地元・府中市内の大国魂神社で必死に必勝祈願を行う菅氏の姿があった。
自民からは過去2回菅氏に挑んで敗れた元武蔵野市長の土屋正忠氏(70)が再挑戦する。前々回の05年に比例復活して、「小泉チルドレン」のリーダー的存在だった。
菅氏の原発ゼロ戦略については「国民に不安があるので一定の説得力はあるのだろう」と分析する。土屋氏は「安全性を第三者機関が判定し、地元の納得を得たうえで再稼働できるものはしたほうがいい」というのが本音だが、菅氏の言動にかんがみると、選挙戦で原発問題を積極的には取り上げにくい。それよりも「子育てや教育、福祉など地元市長時代に取り組んだ強みを訴えていきたい」と打倒・菅氏に燃える。
これまでの選挙ではマスコミが取材に来ることは少なかった。前回は菅氏に7万5000票の大差で敗れて議席を失っており、「自民が追い風というより、ようやく五分五分になったところ」と気を引き締める。
民主を昨年離党した前衆院議員で弁護士の横粂勝仁氏(31)も「打倒・菅」を旗印に神奈川11区から国替えした。前回は自民の小泉進次郎氏(31)への対抗馬として民主から出馬したが落選し比例復活。昨年、菅内閣不信任案に賛成して党を除籍され、無所属で選挙活動をしている。
「まっすぐ政治改革。党利党略の政治から脱却していきたい」。国替えから1年半。平日は朝6時半から8時半まで駅前でのつじ立ちを欠かしたことがない。自転車で選挙区を回り続け、「おカネがないなら人の10倍動けばいい。私ほど行動している人はいない」と自負する。フジテレビのバラエティ番組「あいのり」に出演していた知名度も生かし、若者など無党派層の取り込みを狙う。
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