過去最多1504人競う「ドタバタ選挙」の舞台裏 党首演説からは見えない候補者の等身大の姿

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民主現職へ秋波送った自民

保守王国だったはずの新潟県も例外ではない。前回の選挙は民主が全6区で完勝。自民が強い地盤を築いたかつての姿は見る影もない。小泉郵政選挙で全国的に自民が圧勝した前々回選挙ですら、民主は候補を立てた4地区で3勝1敗(一人は比例復活)と自民に勝利している。

そういう経緯もあってか、自民は優勢と伝えられる今回の選挙でも浮かない顔だ。自民党新潟県支部連合会は「追い風? そんなに甘いものではない」(幹部)と話す。今回の選挙では世襲批判の反省を踏まえて、1~4区に新人を擁立したが、なかなか決められない選挙区もあり、決して楽な戦いとはいえない状況だ。

新潟市の一部から柏崎市、佐渡市まで幅広い地域をカバーする新潟2区。自民は経産省出身の細田健一氏(48)を即戦力としてアピールする。18年間に及ぶ官僚時代には主に中小企業政策に尽力した。その経験を生かし、細田氏は「疲弊した地域経済を立て直したい。このままでは日本が駄目になる」と意気込む。

ただ選挙戦への準備不足は否めない。新潟には縁もゆかりもない、いわゆる落下傘候補者だ。自民の新潟県議は「ようやく4月下旬に候補として決まった。民主現職の方は7年にわたりバッジをつけてきた。ポスターの数が10倍も20倍も違う。細田って誰という声が多い」と嘆く。

公示日直前に燕市で開いたミニ集会。地元の葬儀と重なったこともあり、出席者は30人程度。用意した座席は半分も埋まらなかった。そうした中、細田氏は有権者からの強い要望に応える格好で「皆さんに約束したい。(民主党政権で頓挫した)国道116号バイパスを早期着工できるように当選1日目から働きかける」と宣言。集会の最後には、「5人とは言わない。3人でいいので、家に帰ったら細田という者が選挙に出ると電話してください」と訴えた。

民主からは3期目を目指す農林水産政務官を務める鷲尾英一郎氏(35)が立候補。11月末、朝からJA支店を小型車で次々にあいさつ回りする姿があった。自民と蜜月だったJAの組織票を切り崩すためだ。

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