年収200~400万円の"新中間層"が生きる道

藤原和博(その5)

——では、そういう人はどうすればいいのでしょうか。

藤原:中国に行ってもダメでしょ?

渡邉:ダメですね。サムスンに雇用されて出稼ぎにいくというケースは増えていて、僕も何人かに取材しています。ただ、それは突出した技術がある人だけであって、普通の中間管理職の人は厳しい。

藤原:工場の配置から、何から何まで決められるような人は、どこに行っても強そうだよね。現地語が話せなくても、ナレッジがあればいいわけだから。

藤原和博(ふじはら・かずひろ)
杉並区立和田中学校・前校長 
東京学芸大学客員教授

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長 などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長 を務める。08~11年、橋下大阪府知事ならびに府教委の教育政策特別顧問。著書に、人生の教科書シリーズ、『リクルートという奇跡』
『つなげる力』等。最新刊の『坂の上の坂』が10万部を超すベストセラーに。

渡邉:そういう人は、サムスンに雇われるからいいんですよ。

藤原:そうではない非常に中途半端な人の話ですね。

渡邉:高卒でライン労働者をずっと工場でやってきた人とか。

藤原:でしょう。だから、そういう人は第3回目で話した「災害救助予備隊」に入ればいい。

渡邉:40歳で「災害救助予備隊」ですか(笑)。確かに、みんな準公務員にしてしまうしか選択肢はないかもしれません。ただ、そうした人は、経済的な付加価値を生みませんよね。

藤原:でも、北欧はすでに半分以上が公務員でしょう。準公務員まで含めたら、6〜7割まで行くんじゃないかな。

渡邉:それは税金が高いからできる話ですよ。

藤原:日本でも、今の流れだと、そうなっていくでしょうね。それが嫌なら、移民を数千万人から1億人ぐらい入れる覚悟が必要になると思う。

渡邉:現在、重力の世界(グローバル競争を強いられる、技能集約的な分野の仕事:詳細は第1回)の人たちは、50歳くらいになると、最後の拠り所が警備員やタクシードライバーぐらいしかありません。こうした仕事は、特段のスキルはいらないので、欧米では移民の人がやっています。もし日本に移民が入ってくると、重力の世界の人は、ますます仕事にありつけなくなってしまう。

藤原:だから、移民でも年収50万〜100万円しか稼げないでしょうね。

渡邉:50万円で働かせるわけですか。その年収では日本で生活できませんよね。

藤原:だから、寮はきちんと準備しなきゃ。その代わりに、本来であれば、250万円払うべき年収を、100万円に抑えると。

渡邉:そうすると、会社の経営者がますます儲かるだけのような気がしますけど。

やっぱり移民は難しいですよ。移民を入れると、ますます失業率が上がって、ひどい国になってしまう可能性があります。そうすると、やっぱり「災害救助予備隊」かな、とも思いますが、この人たちは、付加価値を生まず、納税者になりえないという問題があります。

藤原:でも、目下の時点でアップルもグーグルも生み出せていない日本ですからね。

渡邉:そう。日本には雇用をつくる人がほとんどいないんですよ。

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