年収200~400万円の"新中間層"が生きる道 藤原和博(その5)

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渡邉:ただ、みんなが大学に行く今の時代に、教育費がそんなに下がりますかね。一人の子どもを大学まで出すのに、1000万〜2000万円かかると言われますし。

藤原:はっきり言えば、今の大学の半分はいらない。実際、今の大学生の半分は、大学生になってはいけない人たちであって、本当は職業訓練をやるべきなんですよ。今の大学が生き残るためには、半分は職業訓練校になる必要がある。

あと10年くらいすると、「普通高校からどうでもいい大学に行っても何もない」ということが常識になると思うんです。そして、頭のいい子の中から、「高校・大学まで行って、嫌いな英語や数学をなぜ学ぶ必要があるんだ。そんなムダな時間を使うよりも、徹底的に好きな技術を身に付けてやる」という例が出てくるんじゃないかな。

技術は、漆の技術でも、和船の製造技術でも何でもいいんですよ。頭が悪くて、しょうがなく職業訓練校、工業高校に行くというのではなく、頭がいいからこそ、人と違う道を選んで、20年後に一発逆転しようという子が出てくるのではないかと。

アメリカには、高度にネットを使えるギーク(日本で言うオタク)がいっぱいいて、学歴にかかわらず仕事をしているでしょ。 日本では、そういう子が本当に少ない。だから、日本の伝統技術を誰が引き継いでいるかというと、ほとんど外国人ですよね。カナダ人やスウェーデン人はそういうのが大好きだから。

渡邉:その話は面白い。確かにそうですね。やっぱり「普通の大学に行って卒業しても食えない」ということが、世間に浸透しないとダメですね。

藤原:まだ今は、ごまかせてしまっているの。 そういう意味では、秋田の国際教養大学の中嶋嶺雄学長はすばらしくて、英語教育を徹底的にやっていますよね。一流企業が「御校の学生をぜひ採用させてください」と拝み倒しに行くぐらいで、就職率は100%。この国際教養大学と、国際基督教大学(ICU)、金沢工業大学の3校は、就職率がよいということで、突出して有名なんですよ。

これから、就職率の悪い大学はどんどん淘汰されると思う。親側には、まだしばらくの間は、「大学ぐらい出てほしい」という感覚が残るだろうけど、子どものほうは、頭を軟らかく教育すれば、「あんな大学に行って何の得があるの」という感じになると思うけど。

ただし、サラリーマンを目指して名も知れない大学に行った奴よりも、中学卒業後に職人の道を選んだ奴が、20年後に大逆転するというケースは、まだ出てきてないんですよね。

渡邉:成功モデルが欲しいですね。

藤原:欲しい。10年後ぐらいには出てくると思うな。出てこさせないとダメでしょ。

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