想像と違った!「こども食堂」の本当の意義 「子どもの貧困」対策になるか

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翌日のインタビューで「こども食堂」を運営するNPOインクルいわて理事長の山屋理恵さんに感想を伝えると、こんな言葉が返ってきた。

NPOインクルいわて理事長の山屋理恵さん

「そうですか。一緒に食事をしながら話しているうちに、お金のことや病気のことが心配という話が、昨日の参加者からも出てきましたよ」。昨日の参加者のほとんどの方々がなんらかの福祉の支援をうけていたり、課題を抱えていたりしていたり、つらい体験をしていたそうだ。筆者は全く気づかなかった。

「見た目には分からないと思います、また、見えないようにしています。様々な課題を見える化し、地域と共有し、支えあい、生きにくさを取り除ける場所。こども食堂というかたちで、誰でも来ていい、悩みを話せる、暖かい場所を作りたかったんです」と言う。

ある親子の場合、子どもがチラシを見て「お母さん、これ行ったほうがいいよ」と勧めたそうだ。親しみやすいデザインのチラシを作ったのは、調理師免許を持つインクルのスタッフ、大久保千紗さん。介護の仕事や電話相談員の経験を通じて、色々な人が覚える「生きづらさ」を見聞きしてきた。

「個で生きている人」が、つながるきっかけに

スタッフの大久保千紗さん

「社会との接点が少ないまま、個で生きている人が多い。困っていても、人に頼らず生きようとする人が多いし、支援を求めても自己責任と言われがちな風潮を知っているから、傷つかないようにすると支援を求められない。

横のつながりという言葉はよく聞きますが、どうしたらいいか分からない人が多いのが実情です。

でも、ここで一緒に御飯を食べることで、つながることができます。大事なのは支援の敷居をいかに下げるか。子どもの問題は親の問題であり、地域の問題。続けることに意味があると思います」。

(後編に続く) 

治部 れんげ ジャーナリスト

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じぶ れんげ / Renge Jibu

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。日経BP社、ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、日本ユネスコ国内委員会委員、日本メディア学会ジェンダー研究部会長、など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」』1~3巻(汐文社)等。

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