自衛隊の尖閣諸島への配置は控えるべき
日本としては、経済協定、漁業協定、石油やガスの共同探査を強化しようとするなど、小さなことから始めるというアプローチが考えられる。その一部はすでに実施・承認済みだが、効果的に実施されているとはいえない。
最良のシナリオとしては、温度を下げていく、つまり2012年に高まった緊張関係を、ゆっくり時間をかけて落ち着けていく、というシナリオが考えられる。これでは解決とはいえないが、尖閣問題に対するより良いアプローチの仕方だ。
南シナ海については、問題は尖閣の場合とは異なる。
率直にいって、中国が南シナ海から手を引くことはない。中国軍はいまだに拡張を続けている。南シナ海は今や、中国の核心的利益の一部だ。たとえ中国が当然のことのように公然とその言い回しを使わなかったとしても、同じことだ。
中国はまた、今では朝鮮半島も中国にとって戦略的に重要な地域だと主張している。そのため、中国は経済と軍事力が拡大するにつれて、関与も拡大させている。
――どうすれば日本は、攻撃的だと見られることなく、断固たる姿勢を示すことができるのでしょうか。
第一に、中国の罠にはまらないことだ。尖閣諸島周辺での中国の作戦行動にどう対応するかについては、細心の注意を払わねばならない。
第二に、漁船を退去させたり、「警備」艇と対峙したりする際には、相当の警戒を怠らないことだ。これら船舶は、今では非運動性兵器で武装している。
以前、台湾と日本とが、放水砲を使った「水鉄砲合戦」で対峙したことがあった。武装していない船舶同士でも、対立がエスカレートすることがある。これは非常に懸念すべきことだ。
第三に、中央政府は政府以外の関係者の行動を抑えねばならない。一個人である日本人、またはこの件に関しては中国人の行動が、2国間に紛争を招くような事態は容認できない。
私は、国が尖閣諸島の所有権を取得するという手段を用いて、野田首相が実現しようとした目的はここにあったと思う。「日本の勢力を拡大する」などという目的で、島々を国有化したのではなかった。それは日本国政府が、中国にどう対処するかという問題を指揮する足場を固めるためだった。
自衛隊を尖閣諸島に配置することについては、日本は今これを実行すべきではない。それは明らかな挑発行為となる。
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